大学病院のような大病院に1日1000人の患者さんが受診するとして、この1000人のうち外科で手術が必要な患者さんは何人くらいいると思いますか? 体感では50-60人くらいでしょうか?

 

それに対して病床150床程度の小規模病院で1日1000人の患者さんが受診した場合、手術が必要な患者さんは10人以下だと思います。する必要のない手術をしている場合は別ですが。

 

病院規模に応じてその患者さんの病院に対するニーズが変わるということです。

 

さて1年間に10人の心臓手術をしている医者と150人の心臓手術をしている医者がいるとします。

皆さんはどちらの医者に手術をしてもらいたいですか? 1年に10人しか心臓手術をしていなければ技術の維持は難しいと思います。当然年間150人手術をしている医者に手術をしてもらいたいですよね。

 

そのためには高度技術は集約する必要があります。150床規模の病院で外科医を雇用する場合、手術以外の仕事が出来なければ病院としては費用対効果が良くありません。

 

そのような病院では外科医もプライマリケアをするべきです。しかし、以前私がいた病院では常勤の外科医がプライマリケアをすることはありませんでした。外来がどれだけ混雑していても自分には関係がないという態度です。

 

このような病院で対応に困っているのは事務長と外来看護師さんです。常勤の医者はたくさんいるのにプライマリケアができる医者が少ないからです。

 

当然その負担はプライマリケアができる医者にかかります。大学病院のような感覚で自分の専門だけ行っていれば良いわけではありません。地域で医療を行うなら外科医であってもプライマリケアを学ぶべきです。

 

残念ながらそのような態度の医者はとても少ないです。