米国の医師免許を取得する場合に受ける試験をUSMLE(united states medical licensing examination)といいます。STEP1は基礎医学を、STEP2 CK(clinical knowledge)は臨床医学を、STEP2 CS(clinical skill)は診断実技の試験です。2021年にSTEP2 CSは廃止されたそうです。コロナの流行が影響したと思われます。

 

日本の医学部での試験にCBT(computer based testing)がありますが、USMLEのSTEP1とSTEP2がこれにあたります。パソコンに向かって決まった時間で問題を解いていくのです。

米国の試験ですがSTEP1とSTEP2 CKは日本で受験可能です。TOEFLのようにテストセンターに行くことで受験できます。当然ですが全て英語です。

 

このテストの点数が、米国で就職する際に重要視されます。米国で就職する際はボランティア活動状況や推薦状も重要だそうです。

 

廃止されたSTEP2 CSが日本のOSCE(objective structured clinical examination)にあたります。私の時代は、STEP2 CSでは模擬患者さんを1日で10人くらい(一人当り30分)を診察します。30分の内訳は15分で問診と診察をおこない、10分でカルテを記載し、5分は次の患者診察への準備です。診察室にはビデオカメラが設置されており受験者の一挙手一投足が評価の対象となると言われていました。

 

例えば顔の表情や患者さんが悲しげな表情をしたときに、肩に手を置いてティッシュペーパーを渡すなどの動作も評価の対象と言われていました。

 

STEP2 CSは米国でしか受験できません。試験会場は全米で10か所くらいあったのではないかと思います。(正確ではありません) 私はロサンゼルスの試験会場で受験しました。

 

米国の大学病院の中には海外の医者の短期研修を受け入れている病院があります。米国免許はないので医療活動はできませんが、問診や診察は可能です。私はUSMLE  STEP2 CSを受験する前にトーマス・ジェファーソン大学で3か月外来研修させてもらいました。

(トーマス・ジェファーソン大学はペンシルベニア州にある病院です。) この段階ではSTEP1とSREP2 CKには合格していました。

 

本物の患者を診察する研修です。一人で診察室に入り、問診・診察を行い、カルテを記載します。そしてアセスメントと必要な検査を考えます。外で待つ上級医に報告に行き、今度は上級医と二人で診察室に入ります。患者さんにすれば二度手間ですね。

 

トーマス・ジェファーソン大学での研修を終え、ロサンゼルスの試験会場でSTEP2 CKを受験しました。今から20年くらい前の話です。