以前、兵庫県立柏原病院(現・兵庫県丹波医療センター)で小児科医がいなくなるという危機がありました。その際、地域の住民が中心となって不要不急の夜間受診をしないように「小児科を守る会」を発足させました。そのかいがあって小児科の存続が決まりました。

 

軽症患者さんの夜間受診は救急医の心を折ります。

「昼間の外来は混んでいるから」「インフルエンザかどうか調べてほしい」

このような患者さんの発言で救急医のモチベーションが一気に下がるのです。

 

私も初期研修は徳洲会の湘南鎌倉総合病院で行いました。当時は月10回の当直が当たり前でした。3日に1回の計算です。寝当直ではありません。超絶に忙しい当直でした。翌日もそのまま仕事です。現在では考えられません。これを美談とも思いません。異常です。ですが当時は地域の救急は医師の犠牲の上に成り立っていたのです。

 

福岡記念病院も「救急車を断らない」を売りにしているようですが、決して美談ではないと思ってください。医師が大量退職すれば救急の維持などできません。古いタイプの医者は「自分達は不眠不休で働いて医者として成長した」と言いますが時代に合っていないと思います。

 

「医師の働き方改革」が始まれば、救急病院の3割程度が救急体制の閉鎖・縮小を考えているようです。今まであった医療が当たり前ではない時代が来ます。