先天的免疫不全症にはたくさんの疾患が含まれます。

 

その中で成人になるまで気付かれない病態として「選択的IgA欠損症」「分類不能型免疫不全症(CVID)」は比較的頻度が高いのではないかと考えています。いずれも感染症を繰り返し易い病態です。

 

「選択的IgA欠損症」は免疫グロブリンのIgAが低下する状態です。IgAは気道や腸管に分泌されるそうですがIgAが低下すると反復性ウイルス感染を含む感染症、反復性中耳炎、頻回の副鼻腔肺感染、消化管感染症を認めるそうです。

 

「分類不能型免疫不全症(CVID)」も同様に免疫グロブリンであるIgG  IgM  IgAなどが低下する状態です。反復する感染症以外に脾腫、リンパ節腫脹、肉芽腫様病変、自己免疫疾患などを合併するようです。

 

上記の免疫グロブリン量は血液検査で測定できますが、一般的な健康診断や通院時の採血で測定することはまずありません。また、数字が低くても再発性の感染の病歴がなければ診断は確定しないと思います。採血だけではなく、病歴と合わせて診断を考えます。

 

上記の疾患を知らない医者も多いと思います。病気を疑わなければ検査されません。未診断例も多いようです。