23歳の女性が発熱 関節痛で入院となっています。体温は39℃です。主治医は他の医者なのですが、研修医がカルテを見ながら相談してきました。「このような患者さんが入院となっているのですがどんな病気を考えたらいいですか?」とのこと。

 

発熱して7日ほど経過しており毎日39℃の発熱を認めています。3週間以上持続すれば不明熱と言いますがまだ3週間は経過していません。一過性ウイルス感染の可能性もあり得ます。一般状態は悪くありません(熱の割に元気です)。

 

診断は確定していません。患者さんの言う「関節痛」は要注意です。患者さんは「筋肉痛」や「全身の痛み」も「関節が痛い」と表現することがあるからです。この場合は関節を診察して本当に関節痛なのかを見極める必要があります。

 

他に咽頭痛やリンパ節腫脹があればキャッスルマン病 菊池病 スチィル病 悪性リンパ腫 伝染性単核球症も鑑別に挙がります。

 

伝染性単核球症とはEBウイルスによる感染症です。キスによって伝播するためkissing diseaseと呼ばれています。

 

伝染性単核球症と同じような症状を示す感染症に「伝染性単核球症様症候群(Infectious mononucleosis like syndrome)」があります。サイトメガロウイルス B型肝炎ウイルス感染急性期 HIVウイルス感染急性期 トキソプラズマ(原虫)感染などの微生物で同様の症状を示します。

 

B型肝炎やHIVは性交渉や輸血で、トキソプラズマは猫との接触で感染するかもしれません。病歴で性交渉歴や輸血歴、動物接触歴を確認するのはこのいう理由からです。