東南アジア出身の患者さんを最近よく診察するようになりました。その患者さんはベトナム出身の23歳男性でした。症状は何もありませんが健康診断の異常で来院されました。結果をみると軽度の貧血があります。貧血とは血液のヘモグロビンが低下している状態です。一般の方が「めまい」のことを「貧血」と表現しますがこれは間違いです。その患者さんのヘモグロビンは10.2g/dlでした。貧血の患者さんを診た場合、次にするのはMCVを見ることです。MCVは平均赤血球容積の略です。赤血球1個当たりの平均的な大きさを指します。正常値は85-100fLですがその患者さんの数字は76fLでした。このような状態を「小球性貧血」と言います。小球性貧血では「鉄欠乏」が原因としてもっとも多いです。その為、「血清鉄」「フェリチン」「TIBC」「網赤血球」を追加で測定します。
と、同時に「Mentzer Index」を計算します。簡易的に「サラセミアIndex」と呼ばれています。計算式はMCV÷赤血球数(×106)=Mentzer Indexです。この患者さんの赤血球数は6.51でしたのでMentzer Indexは76÷6.51=11.6となります。 Mentzer Indexが13以上の場合は鉄欠乏性貧血を、13未満の場合は「サラセミア」を疑います。「サラセミア」は赤血球の構成成分であるヘモグロビンの先天的異常です。重症型のサラセミアは症状が出現するため小児期に発見されます。この患者さんのように20歳台で指摘されるということは自覚症状がほとんどなく軽症型のサラセミアを疑います。
サラセミアを疑った場合に次に行う検査は「ヘモグロビン分画」検査です。そして遺伝子検査を行い確定診断となります。福山臨床検査センターに問い合わせてみました。残念ながらこの検査に保険適応が無いそうです。検査をしたければ自費で行うしかありません。
そもそも自覚症状が何もないので、本人は高いお金を払ってまで検査を希望されませんでした。将来的に症状が出現すれば検査をした方がよいかもしれませんが、まだ何も症状がないので今回は検査を行わず終了することとなりました。