いつのまに自分が
病気になっていた

夫と次男が病気になって
しばらくしてから

定期的に担当の保健師さん
に訪問してもらうように
なった

私は2ヶ月に1回程度でいい
と言ったのですが
保健師さんは何故か
こまめに連絡をくれ

近くに来たからと
1ヶ月に2回ほどきてくれたり

「役所に来たら次男くんの顔をみせてね」
と言って、役所に行った際も
話を聞いてくれていた

いつしか昔からの知り合いのように
何でも話せるようになって
自分の悩みも打ち明けるように
なっていた

夫と次男が病気になって
1年後ぐらいだったかな

家に来た保健師さんが
「ねえママ!私と病院にいかない??そんなに深く考えないでママの悩みを専門医に話してみない???もちろん私もついてくから!!」

と言われ、
その時は意味もわからず断った
けど
その後保健師さんから
何度か言われ


受診を決心した


次男を母に預け
保健師さんとタクシーで
少し離れた街中にある
心療内科にむかう道中

何故かタクシーの中で
涙がとまらず

けど
保健師さんはそこには
ふれず

「ほら!ママあそこに新しいごはん屋さんできてるよ!!お客さん意外と多いね」

等、家族の話は一切せず
ひたすら街並みや
自分の趣味の話等を
してくれた

病院につくと
尚、涙が溢れ
息が苦しくなって

保健師さんは何も言わず
背中をさすってくれていた

自分でも泣いてる理由が
わからない

しばらくして待合室に
看護師さんが来て
2階の診察室へ行き

チェックシートを渡され、
チェックシート内にある項目に
チェックを入れていくのだが

あてはまる項目が多すぎて

体が疲れやすいか
最近気が沈むことが多いか
相談できる人がいるか
息が詰まって苦しくなることがあるか
テレビをみて楽しいですか
意味もなく涙がでてきますか

自分の為に作られた
チェックシートかというほど
当てはまる

体がつかれやすいか?
常に疲れている。日中は
次男を連れてバスに乗って
夫の病院に行き

買い物して

子供の学校の事をして

その間も病院から電話があり

主治医
「来週ご主人の治療の件でお話があります。奥様のご都合のいい日になるべく合わせますがいつがいいですか??」

「先生それは電話じゃ教えていただけないですか?結果が悪かったとかですか?」

主治医
「すみません。私一人でお話できることではなくその日もう一人先生がつくので、奥様合わせ3人で話すことになっています」

きっと悪い知らせ
命に関わるようなことだ
なんで電話ではなせないの?

夜は家でご飯をつくり
次男を寝かせ
朝方まで内職をして
子どもたちを学校に出し
夫の病院へ夫は個室だったので
そして病室で座ったまま寝る

退院してからも夫が菌に
感染しないよう
細心の注意をはらって食事を
作り、外出しても
夫には荷物は持たせない
次男は重いから抱かせない
バスの席が空いていたら
自分は座らない
どんなに長時間でも
次男を抱いて立ってる

夫にはきつい顔は見せない
疲れた
きつい
等言わない

自分の中で決めたルール


相談する人がいるか?

いるけどしない
心配をかけたくない
みんな心配してる
私のことも夫のことも次男のことも
とくに母と祖母

移植後や移植前の
子供が面会出来ない時間は 
80歳を過ぎた祖母が
子どもたちを預かって
くれていた
祖母にはミルクをあげる時間を
紙に書いて渡していた

病院にいる間に祖母から電話で
「ごめんね電話して…ミルクの時間は書いてある時間にやったんやけど、ばあちゃん抱っこしても泣き止まんのよ。眠たいと思うんやけど、ちょっと時間早いけど少し飲ませてもいいかね?」



ばぁちゃんありがとう

母は仕事の合間に電話をくれ
「今日給料日やけ、みんなでご飯に行こうか」
と言って、よく家から連れ出してくれた

夫が入院して数日後に来た
クリスマス
母が高いレストランを予約して
くれていた
つくまでどこに行くか知らなかったから
私と子供たちはジーパンにパーカー
とうの母も仕事着

周りはおしゃれなお客さん

生まれて初めてのフランス料理
大きなお皿の真ん中に
一口ぐらいのお肉や野菜


デザートはケーキの周りに
ソースで家の絵がかいてあった

母は自分のコース料理を
小さな声で子どもたちに
「思ったより少ないね、ばぁばのも食べり」
と言って、子どもたちのお皿に取り分けて
くれていた

母さんありがとう

他にも友人、叔父、叔母
みんな心配して
みんな助けてくれてる
心配はかけたくない
大丈夫って言わないと
絶対みんなの前で泣かない
気丈に振る舞わないと

テレビなんか
夫が病気になって以来
内容なんか
頭に入ってこない

涙なんか
内職してる時も
いつの間にか流れてる

息がつまって苦しくなる?
そんなの毎日なるよ

最後に
実のなる木の絵をかかされた

その後診察室から呼ばれ
先生に色々聞かれた

診察室には保健師さんも
一緒に入ってくれて
先生に関係性を聞かれた

聞かれたことは全て正直に話した

先生
「鬱状態ですね。」
「違います!大丈夫です」

先生が何度か説明をしてくれたが
私は
「違います!私は大丈夫です!」
と言いはった
先生
「分かりました。あなたの場合原因が明らかです。ご家族の事でしょう。ご家族の病状がイイ方に進んでいくと、きっとあなたの心も良い方に進んでいきます。でもそれまでの間なんですが投薬という手段もあります」

と言われたが私は断った
普段から薬は
あまり飲まないから
出来れば飲みたくなかった
先生
「わかりました。じゃぁ定期的にうちにきて現状報告してもらえませんか?」

と言われた

それには保健師さんが
「分かりました!ママ私もついてくるけん、一緒に来よう!」
と言ってくれて
私はうなづいた


いつの間にか
自分が病気になりかけてたんだ

正直いっぱいいっぱいでした

最悪な事態は常に考えてたけど
そんなとこ
口に出したら
本当にそうなりそうで
誰にも言えなかった

その後、先生の言うとおり
夫の病状が良くなってくると
私の胸の苦しさも少しづつよくなった
けど
いまだに波はある

夫や次男の体調が悪くなれば
私も悪くなる

そして今すごく困っていることが
尋常じゃない心配

上の子供
二人に対してもそう

日焼け止めを塗らないと
皮膚がんになるんじゃないか
塗り忘れた子供に学校まで届けた
こともある

子供の皮膚に新しくほくろが
できてる
皮膚科を受診するまで
不安がおさまらない

目が少し黄色い気がする
肝臓が悪いんじゃないか

昨日はなかったのに
大きなあざがある
再発したんじゃないか

少しのことが
普段はなにも思わなかったことが
全て不安にかわる

そして大きな不安、大黒柱の
私が死んでしまったら

残されたみんなの事を考えて
自分にかけた大きな死亡保険

もし事故や病気で私になにか
あったら母と祖母にも
このお金を渡してねと
しっかり者の長女に伝えてある

長女はそんな私を気づかい
「大丈夫よ!お母さん!心配せんでもみんなで豪遊して生活するけ」と笑って答える
私はそんな娘に
「そんときは化けてでるけね」と笑って返すと
娘は
「お母さんが化けてでてもこわくないやろ(笑)おかえりーっち言うよ」
って

こんな母でごめんね
そしてこの場をかりて
みんなありがとう