Destiny35話解説。一気にいかず、少しずつ進めていきます。本日はまず、シン帰艦後の二人のリアクションについてです。まずは、そのシーンを書いていきましょう。




フリーダム撃墜後、帰艦するシン。


ミネルバの整備兵たちが称賛と拍手でシンを出迎え、歓喜の輪の中からヴィーノが「シン!」と駆け寄ってきます。


ヴィーノ「本当にすごいよシン!」

「よぉ!やったな!」、「すごいじゃないか!スーパーエース!」、囲む整備兵たちが口々にシンを称賛します。シンはヴィーノに笑みを向けながら「いえ、そんな」と冷静に称賛を受けとめ、答えています。すると、一人の整備兵が近づいてきます。気付いたシンがそちらに目をやります。それを見たヴィーノからは、一瞬で笑顔が消えます。

整備兵「本当にやったのか?あのフリーダムを?」


シン「えぇ、まぁ」

そう答えるシンを見て、ヴィーノは思わずシンから手を離してしまいました。


ヴィーノのこのリアクションは、一体何を表しているのでしょうか?


そして、もう一人。


ルナマリア「シン!すごかった、あんな戦い方。ビックリしちゃったわよ」

ヴィーノに続いて、ルナマリアもシンを称賛します。


シン「そう?」

しかし、シンの反応は想定外のものでした。驚き、当惑するルナマリア。その後ろからレイが歩みでて、「シン、よくやった。見事だった」と手を差し出します。

シン「ありがとう!レイのおかげだ!」


シンは嬉しそうな笑顔になり、レイとガッチリ握手します。

レイ「やり遂げたのはお前だ」


シンはレイにそう言われて心底嬉しそうな顔になります。

はい、ここまで。


ここの場面について書いていきましょう。


まず、ヴィーノが思わずシンから手を離してしまったのは何故なのでしょうか?


これまでを振り返ってみると、シンはあんなに強く鋭い目はしていませんでした。(上から順に13話と18話)


みんなと笑顔で無事や作戦の成功を喜び合っていたのです。


なのに、35話ではそんな様子はありません。アークエンジェルとフリーダムを討つというエンジェルダウン作戦が成功し、皆歓喜しています。討った当の本人は、18話の時のようにもっと喜んでいいはずです。しかし、シンは冷静で落ち着いています。いや、落ち着きすぎているのです。ヴィーノが思わずシンから手を離してしまったのは、そのあまりに鋭く落ち着き払ったシンが怖かったからといえます。


以前とは違う鋭さ、あまりに冷静で落ち着き払った態度や雰囲気、冷たく、人としての感情が感じられない変わってしまったシン。それはまるで何も考えず、命じられるままに敵を討つだけの戦闘兵器のよう。ヴィーノのリアクションは、シンの人格が変わってしまっていることを示しているのです。


ルナマリアに対してもそうです。


ルナマリアとしては、シンは以前のように笑顔で喜ぶと思ったのです。しかし、返ってきたリアクションは「そう?」のみでした。そりゃルナマリアは「えっ?あれ?」となります。


ルナマリアに対してはどこか素っ気なく、レイに対しては明らかに嬉しそうな反応を見せたシン。この違いは何でしょうか?


シンにとってレイは理解者であり、味方だから。レイはシンの心をガッチリ掴んでいるから。それもありますが、僕はこう考えます。


アカデミー時代の成績は、レイが優秀でトップだったから。


シンはそのトップであるレイに称賛され、認められたのです。自分の力を認められたい、認めさせたい。インパルスを与えられた時、シンはレイに対してずっとそう思っていても何ら不思議ではありません。それがついに実現しました。自分より上、強い人間に認められる。強くなりたい、褒められたい、認められたい、肯定されたい。それだけ。それがシンです。だからレイに褒められ、認められたからあんなに嬉しそうな顔になったと言えるのです。ルナマリアのことをどこか下に見ており、また、これまでずっと仲良くしてきた三人の関係が変わってきたという描写でもありますね。


この次にアスランとのシーンを迎えるわけですが、シンとはどういう人物かがよく描かれている場面の一つです。というか、35話は全体的にそうだと言えます。


次回は、そのアスランとのシーンを書いていきます。