続き。



ヘリオポリス組の心の中が表面化し、キラに対して線を引いて距離ができたところでの第10話。


フレイの父親が死亡してしまった直後のことである。



ー友達ではないことが確定ー


フレイ「あんた、自分もコーディネイターだからって、本気で戦ってないんでしょう!?」


キラはフレイに怒りと憎しみをぶつけられてしまい、責められてしまう。図星を突かれてしまったため、返す言葉がないキラは部屋を飛び出していく。


ミリアリア「キラ!」

サイはフォローしない上に、ミリアリアもキラを追いかけない。


コーディネイターなのだから戦えよと言われて戦わされ、今度はコーディネイターだからいけないと言う。戦いたく何てないのにいきなり戦場に出されて自分の同胞やアスランと戦うハメになってしまっているのに、自分たちを守るために全力で戦え、殺せと迫る。これはハッキリ言って、酷である。


アークエンジェル内にはキラの気持ちを理解してくれる人は誰もいない。キラは元々戦いたくない人。そして、優しい性格のため、自分を責めてしまう。やり場のない感情がいっぱいに
なっているため、カズイの存在にも気が付かなかった。

明らかにキラの様子がおかしいのに、カズイは声をかけない。追いかけはするが、心配でついてきたのではなく、キラに何があったのか、その理由への興味からついていくのだ。わかりやすく言えば、マスコミである。このあとの行動何て、正にスクープを得たマスコミだろう。


キラに誰も声をかけない。これはヘリオポリス組みんなそうだ。


自分たちが困った時ばかりキラ!と呼び、頼むな、お願いねと任せて背負わせて、そのあとのフォローは何もしない。自分たちがそうやって言うたびにキラにプレッシャーをかけてしまっている、苦しませていることには全く気が付かないし、考えない。キラのことを気にかけず、誰も声をかけないことが僕には信じられない。


残念ながらキラに声をかけるのは友達であるはずのヘリオポリス組ではなく、彼女だった。


ラクス「どうなさいましたの?」

涙が出そうになる。皆さんは悲しくならないだろうか?


どうして…どうしてこの一言がヘリオポリス組の誰からも出てこないのだろう?って。


「友達」の様子が明らかにおかしいとわかっていて、誰も声をかけないというのは本当に「友達」と言える?困っている、苦しんでいる「友達」に声をかけない、そばにいてもくれない人は「友達」か?


こんな奴らは友達でも何でもないだろう。


誰も話そうとしない、理解しようともしない、声をかけない、思いやらない。みんなキラを戦わせておいて、知らん顔だ。これのどこが「友達」なのか。ましてや「良い友達」と思える要素がどこにもない。このあと何かもっとヒドイからな?


ラクス「なのに、悲しそうなお顔をしてらっしゃるわ」


キラの様子に気がつくのも、ラクスだった。


キラ「僕は…僕は、本当は戦いたく何てないんです。僕だってコーディネイターなんだし。アスランは、とても仲の良かった友達なんだ。アスラン・ザラ…彼が、あのモビルスーツ…イージスのパイロットだ何て…」

はい、ここでヘリオポリス組が友達ではないことがハッキリと確定する。本当に残念で悲しいことである。


「僕は、本当は戦いたく何てないんです」


これはキラの本心だ。誰かに話しを聞いてもらいたくて、自分の気持ち誰かにをわかってもらいたくてたまらなかったのだろう。


これをラクスに打ち明けていることに対して、皆さんはどう思うだろうか?


付き合いが長い「友達であるはずの」ヘリオポリス組ではなく、出会って間もないラクスにキラは本心を打ち明けているのだ。


これは、キラはヘリオポリス組には打ち明けることは出来ないということだ。


差別意識や畏怖の念を持ち、自分に対して線を引き、何ら悩むことなく戦艦のブリッジに入ることを簡単に決めてしまった彼らに、「僕は本当は戦いたく何てない」とは言えんだろう。それがキラのため何て思ってしまっているから、尚更だ。


自分の本心や、苦しい胸のうちを打ち明けることも出来ない、言えない相手である彼らはもう「友達」何かではない。


キラが本心を打ち明けることが出来る相手は、今はラクスしかいないのだ。


隠れて盗み聞きし、キラの苦しい胸のうち、置かれている苦しい立場を聞いてカズイは嫌な笑みを浮かべてその場を去っていく。キラを心配したり、理解するのではなく、まるでキラを嘲笑しているかのように。

身の安全を人に依存しておいて、平気で人のことをペラペラと皆に言う。一番怖いのは、こういう人間である。


どいつもこいつも自分のことばかりの身勝手な連中だ。本当に醜い。人間の身勝手さ、醜さにイライラするばかりだ。



ー信じてない彼らー


ミリアリア「そりゃ、フレイの気持ちもわかるわよ?でも、アレはちょっとひどすぎるわ!」

まぁた報告してるよ。前回に続いて、また同じことを書かせてもらう。


ねぇ、いちいちみんなにこういうことがあったって言う必要ある?言わなくてよくね?


何でいちいち言うんだろうね?こいつら、ほんっとに常に一緒、共有じゃないとダメなグループだ。そこから外れる者は許さない、崩れることも許さない。みんな一緒、共有して安心感を得ていて、全員そのグループに安住している。だから一人で行動が出来ないし、一人だけ別行動をすることを許さないのだ。これがこのあと発露することになる。(後述)


大体さ、そんなところで報告会しているくらいならキラのところへ行けよって話しである。キラと話せばわかることなのに、誰も話そうとしないことが本気で不思議である。


「そりゃ、フレイの気持ちもわかるわよ?」


えっ?何が?


ごめんなさいね。もうツッコミたくてツッコミたくて仕方ないセリフ何だもの。


何がわかるんだろうね?


大切な人を失った痛みや悲しみは、本人にしかわからない。それを「わかる」と言ってしまうのは傲慢だろう。そもそも、「わかる」人間は戦艦のブリッジに入ることはしない。結局わかっていないからキラの気持ちをわかってあげられないし、思いやらないのだ。軍に残ることだって簡単に決められてしまうのである。


サイ「自分もコーディネイターだから、本気で戦ってない…か…」


トール「そんなことねぇよ!いつだってキラは、すごい頑張って戦ってんじゃんかよ!」


サイ「いや、俺だって疑ってるわけじゃないさ。ブリッジにいれば、モビルスーツでの戦闘がどれだけ大変なものかってのは、嫌でもわかるし」


あームズムズする。すっげぇ引っ叩きたい。ここに触れると止まらなくなるからやめよ。


さて、彼らは表面的にはキラを信じている、信じたがっているかのような言葉を述べている。しかし、内心では「信じていない」のだ。言っているセリフと心情は真逆というのは、SEEDではとても多い。(フレイ何てその筆頭)


カズイ「でも、本当そうかな?とられちゃったあのモビルスーツ、イージスってのに乗ってんの、キラの昔の友達らしいよ」


トール、ミリアリア「!」

サイ「!」

カズイ「さっきあのコーディネイターの女の子と話してんの、聞いたんだ。仲の良かった奴だって」


繰り返すが、人のことを平気で言う人間の方が信じられない。ましてや、人が話していたのを盗み聞きしてそれをペラペラ話しているのだから。


が、それ以前に、相手に「キラのかつての友人」がいるということを知っても、ヘリオポリス組からは誰一人として「キラが友達と戦っている何て…そんな辛い思いをしていたのか…」とか、そういう理解を示す言葉は一切出てこない。また、言ってはくれない。


キラのことを本当に思うのならば、かつての友人と戦わざるを得ないことに苦しんでいるキラの気持ちを理解してあげるべきだ。しかし、彼らはキラのこと何て考えない。では、彼らは何を一番心配しているのか?


それは次で述べよう。それと、「誰もキラを信じていない」ことも明らかになる。



ー信じていない彼ら2ー


キラがラクスをアスランのもとへ返すことを決める。それに協力するサイとミリアリア。ここまでは美しい友情のように見える。ところが…である。


ここで、Destinyの30話でシンがステラを返しに行くシーンを書いておきたい。「対比」になっているからである。


シンがステラを返しに行く時、レイが協力してくれる。そのレイは、シンに「お前は戻ってくるんだな?」と確認する。するとシンは、「当たり前だ!」と返す。それを聞いたレイは、「なら急げ。ゲートは俺が開けてやる」と答えるのだ。


レイはこの件をグラディス艦長に追及されるのだが、「追撃などしなくても、シンは戻ります」とハッキリと答えている。


何が言いたいか?


グラディス艦長「レイは信じていたけれど、よく戻ったわ!」


そう。レイはシンを信じていたということである。


それを踏まえて、以下を読んでいってほしい。



サイ「キラ、お前は帰ってくるよな?」、「お前はちゃんと帰ってくるよな?俺たちのところに」

サイとミリアリアの表情に注目。二人とも、不安で心配そうである。セリフからわかる通り、キラがちゃんと帰ってくるかどうかが不安で心配なのだ。


こう書くと、「キラの身を案じている良き友人」と見える。が、実は違うのが悲しいところである。(後述)


キラ「必ずね。約束する」

キラは必ず帰ってくることをキッパリと告げる。


ここで、先ほどのシンとレイのやり取りを思い出してほしい。シンからちゃんと戻ってくると聞いたレイは、それで確認を終えた。


そのレイと比べてサイは、キラが必ず帰ってくる、約束すると言ったにも関わらず、確認を終えないのだ。終えないどころか執拗な念押しが始まる。


サイ「きっとだぞ!約束だぞ!」

サイ「きっとだぞ!キラ!俺はお前を信じてる!」

ハッキリ言って、しつこい。


口では「キラを信じてる!」と言いながら、実は信じていないのだ。信じていないから、執拗な念押しをするのである。信じていたら、レイがそうしたように、すぐに確認を終えるものだ。念押しなど必要ないからだ。ミリアリアもサイと同じように不安そうな顔をしていることから、キラを信じていないことが窺える。


何故、これほどまでにキラにちゃんと帰ってくるよう念押しするのか?


これはキラの身を案じているのではなく、自分たちが安住しているグループが崩れることや、自分たちの身の守りを心配しているからである。「俺たちのところ」というのが、それを指している。グループから一人だけ別行動を取る、抜けるのは許さないのだ。まるでキラの居場所のように聞こえるが、その実「自分たちのことしか考えていない」のである。これも繰り返すが、本当にキラのことを思うのならば、キラのことをもっと理解してあげるべきで、戦いから遠ざけてあげることを考えるべきだ。なのに、その様子はない。残念ながら、彼らは自分たちのことばかりなのである。


キラは「友達」という言葉や存在に縛られ、自由にしてもらえないのだ。

装着しているシートベルトが、この時は鎖のように感じたことだろう。



キラ「僕だって、君と何て戦いたくない。でも、あの艦には守りたい人たちが、友達がいるんだ!」

制作者側から、キラと視聴者に問いかけている。僕にはそう思えてならない。


キラに対しては、キラくん、あなたは彼らを友達と言うけれど、彼らは本当に友達?


視聴者に対しては、キラくんは彼らを友達と言っているけれど、本当にそう思いますか?どういうのが友達?友達って何でしょう?


少なくとも僕は、ヘリオポリス組は友達とは全く思っていない。そう思える要素がどこにもないからである。



次回もキラを信じていないことや、身勝手な人間のことに触れていく。あー胸糞悪い。