続き。



ー本当にそう?ー


キラ「戦いが嫌で、それが嫌で、中立のここを選んだんだ!」


トール「お前にばっか戦わせて、守ってもらってばっかじゃな」


あんたたちは何を見て、何を聞いてたの?とツッコミたくて仕方がない。


キラにばかり戦わせて悪いから、自分たちもやるよ。


「ありがた迷惑」とは、こういうことを言うのだろうな。


本当にキラのことを思うのなら、「戦いが嫌だ」というキラの気持ちを理解してあげるべきだ。そして、キラを戦いに出そうとするマリューさんやムウさんにまずは抗議するなりしてキラを戦いに出さないようにしてあげようとするのではないだろうか?


なのに、お前たちがキラを戦いに出してどうする?


こうして、キラは戦わざるを得ない状況に追いやられていく。


こうした描写があって、出てくるセリフがこれだ。


キラ「僕は地球軍じゃない!けど、あの艦には仲間が…友達が乗ってるんだ!」

本当にそう?


キラにとって、彼らは本当に「友達」と言える?


キラの置かれてしまった状況や苦しい胸のうちなど、彼らは何もわかってないよ?わかろうともしてないよ?(何なら彼らは自分のことばかりだよ?)


それは「友達」なの?


人がやってるから自分もやる。明確にこうする、こうしたいと何も言わず、何も言えずにズルズルと付き合ってるだけ。つまりは、その場の空気で動いてる。


どこが「友達」何だろう?


繰り返すが、SEEDを初めて観た時からヘリオポリス組を良い友達だと思ったことは一度もない。


彼らは良い友達だと言ってくる人が結構いるが、一体どこを、何を見てそう思ったのだろう?その人の友達というものに対する価値観を本気で疑ってしまう。それくらいヘリオポリス組はヒドイ連中と思っている。この第5話でキラがアスランに連れて行かれそうになる。そこに介入してくるムウさんやイザークたちが僕にとっては邪魔者でしかなく、そのまま本当に連れて行ってほしかったと思ったくらいだ。



ー心の奥底ー


第6話でキラがコーディネイターであることをフレイがバラし、売り飛ばしてしまう。そのことをトールが咎めるのだが、ここで彼の心の奥底にあるコーディネイターへの差別意識が露見する。


トール「地球軍がなにと戦ってると思ってんだよ!」

SEEDは、こういうポンッ、ポロッと出てくるセリフが本当に面白い。色んな一面が見られて、その人物をより知っていけるからだ。それに気が付いた視聴者の方は、このトールの発言にビックリしたのではないだろうか?


あっ…トールもそうなんだ!?って。こういう意外性が本当に面白い。


トールもコーディネイターへの差別意識を持っている。なにって何?って聞いたとしても、トールは絶対に答えられない。「自覚がない」からだ。例えそこをツッコまれても、えっ?俺何か悪いこと言った?とキョトンとされるのがオチである。自覚がないというのは、一番タチが悪い。


「コーディネイターは人間じゃない」という差別意識。これは、地球側の根っこだ。プラント側は、第1話のアバンでザフト兵が発言していた「地べたにへばりついてる奴ら(ナチュラル)」が根っことしてある。だから、見下すのだ。


差別意識があるのは、トールやカズイだけではない。きっと、「彼」の方がインパクトが強いだろう。



ーそばには誰もいないー


第6話のラスト。キラが部屋に戻ってきてベッドに横になり、そこへトリィが降りてくる場面がある。

キラが悲しい思いをしている時、苦しくてツライ時、必ずそばにいてくれるのは「トリィだけ」だ。今後、こういう場面はいくつも出てくる。こういう時にそばにいてくれない、心配して来てもくれない、自身の苦しい胸のうちを打ち明けられない人を「友達」と呼べるのだろうか?


キラが「友達」と呼べるのは、まさしく「トリィだけ」なのだ。



ー触れないことが優しさ?ー


とりあえず謝っとけとフレイに言うサイとトール。

とりあえず謝っとけで終わってしまうあたり、随分キラは軽んじられてるんだなという印象を受けた。


ほんっとに、キラと面と向かって話しをしようとしないことが不思議だ。ちゃんと話しをすればいいのに、「触れないでいる」ことが優しさと思っているのだろうか?そんな風に思ってしまう。


トール「俺たちは慣れちゃってるけどさ。アイツがコーディネイターだってのは、微妙な問題なのさ。この状況じゃね」


何に慣れているんだろうか?キラの能力を目の当たりにしてビックリし、知ってはいたけど「キラはコーディネイターなんだ」と強く実感し、挙げ句「キラは自分たちとは違う」と線を引いてしまっているじゃないか。それに、「キラがコーディネイターであることが微妙な問題」って…。好きでそうなったわけでも、生まれてきたわけでもねぇだろうよ。どうしろってんだよ。だから、そのことには触れるなと言いたいのだろうが、聞くべき時には聞かないといけない。「違いを理解する」ために。


そんな彼らの対比として描かれているのが、カガリである。(22話)彼女はコーディネイターって?とキラにストレートに聞いていく。違いを聞いて、理解していくのだ。ヘリオポリス組にはそういうのは一切なく、無自覚な偏見や差別でキラに対して壁を作っていくようになる。


第5話でキラがど素人丸出しの戦い方をしてしまうところは、よく覚えておいてほしい。コーディネイターの説明になっているからだ。


レバーをギュッ、ギュッと握るところはキラの緊張や不安、恐怖が読み取れるし、こちらにも伝わってくる。
表情も緊張でいっぱいである。
初の本格戦闘。何の訓練も受けていないキラに、いきなり訓練を受けているエリートの相手はキツすぎる。そこに誰も気が付かず、「力があるんだからやれよ」と言われて艦の命運を背負わされたキラが本当に気の毒すぎる。

コーディネイターは何でも出来るとみんな思っているが、それは間違った認識なのだ。そもそも、最初から何でも出来るのであれば、ザフト軍は訓練何かしない。訓練しないと出来ないから、訓練するのだ。


最初から何でも出来るのではなく、ちゃんと訓練を受けたり、練習したり、経験を積んでいるから出来るんだよ。そういう見地に立てるか、気付けるかというのは大切なこと何だよという制作者側からのメッセージのように思う。


訓練を受けないと出来ない。それはキラも同じ。だから、キラはど素人丸出しの戦い方をしてしまう。彼がどれだけ怖い思いをしながら、苦しい思いをしながら戦っているか、誰も知ろうとしない。気にかけない。

僕は、それが本当に理解できない。


彼らが「良い友達」とは、少しも思えない。しつこいようだが、コイツらは友達何かじゃねぇ。このあと人間の醜さも見せてくるあたり、本当にすごい作品だと思う。