ガンダムSEEDの第1話から書いていきます。


なっがいですが、ご覧になったことのある方もない方も楽しんだり、一助になったら幸いです。





コズミック・イラ70。血のバレンタインの悲劇によって、地球、プラント間の緊張は、一気に本格的武力衝突へと発展した。誰もが疑わなかった、数で勝る地球軍の勝利。が、当初の予測は大きく裏切られ、戦局は疲弊したまま、既に11ヶ月が過ぎようとしていた。


第1話は非常に重要となります。視聴者に対して世界観とテーマを提示することと、主人公の人物像を見せることにあるからです。


まずこのナレーションで地球とプラントが対立し、戦争へと発展。未だ戦争状態が続いていることが語られる。


プラントへと放たれたミサイル。爆発したプラント。これが血のバレンタインの悲劇であることが説明される。


これがキッカケに地球とプラントは一気に戦争へと突入し、その戦争が着々と主人公キラの住むヘリオポリスへと迫っていき…というのが第1話。



これがキラが住む中立国オーブの資源衛星、ヘリオポリス。


外は戦争状態だというのに、ここでは平和な日常を謳歌している様子が紹介される。まるで、ここだけ隔絶されたかのように。


サブタイトルである「偽りの平和」とは、正にこのヘリオポリスを指したもの。そしてもう一つ。それは後述する。



トール「おっ、新しいニュースか?」


キラ「あぁ。カオシュンだって」


トール「うわぁ。先週でこれじゃあ、今頃はもう陥ちちゃってんじゃないの?カオシュン


ミリアリア「カオシュン何て、結構近いじゃない。大丈夫かな?本土…」


トール「あぁ、それは心配ないでしょう。近いたって、ウチは中立だぜ?オーブが戦場になる何てことは、まずないって」


この会話から、彼らがすぐ外で起きているこの戦争を、「対岸の火事」だと思っていることがわかる。


しかし、迫るザフト軍の様子が間に間に挟まれることで、着実にこのヘリオポリスにも戦争が迫っていて、平和の仮面が剥がされることが間近であることが表されている。


戦争は、呆気なく平和という日常を壊すのだ。



「この子ったら、サイ・アーガイルに手紙貰ったの!


トールたちと歩いていると、フレイがいる。そこでフレイがサイから手紙を貰ったということを聞くと、キラは目をまん丸にして驚く。動揺する。


手紙を貰ったということを聞いて驚く、動揺するということは、キラはフレイに特別な感情を持っているということ。何も思っていない人であれば、驚くことはあっても動揺することはないですから。


SEEDでは、キャラクターたちは自分の感情を言わない。説明するセリフでもない。リアクション、仕草や表情などから読み取っていかなくてはならない。大変だし難しいけど、そこがとても面白いところ。


特にキラとフレイは言っているセリフに対して裏の感情が働いていることが多々あるため、セリフを全てそのまま受けとめてしまうと大きくハズレてしまうため、注意が必要。


ここではキラのリアクション、表情から、フレイに対して抱いている感情が描かれている。



カトウゼミの学生


キラ、ミリアリア、トール、カズイ、サイ。若者たち5人がここで勢ぞろいする。また、彼らは学生であることもわかる。



謎の少女。


少女はカトウ教授を訪ねてきたという。


これがキラと少女の出会い。が、少女の名前や正体は明かされることはない。


キラ「フレーム設置モジュールの改良。とにかく、プログラムの解析さ」


真ん中に立つロボット。本編最初に出てきた、教授に頼まれた仕事をしている様子、解析依頼。これらから、キラはメカ、コンピューター系をこのゼミで学んでいること、また、それを得意とし、その能力が高いということが描写される。これは後の理由づけとなっている。


トール「そんなことより、手紙のことを聞け」


「偽りの平和」。


これは彼らのことも指していると僕は考える。


穏やかに学生生活を送り、一見平和に見える。が、彼らもまた平和という名の仮面が剥がされていき、簡単に友情が崩壊するのだ。このあと起こる事態のように。


SEEDは戦争を描きながらも、その中での人間関係、変化などが描かれていく。


「友達って何?」


制作者側が提示してきたテーマ。SEEDで描かれる彼らを中心とした人間関係。物語はキラを中心に展開していくが、このあと引っ張っていくのはある人物である。



クルーゼ「遅いな。私の勘がそう告げている。ここで見過ごさば、その代価、いずれ我らの命で支払わねばならなくなるぞ」


クルーゼが持っている写真。それはこのヘリオポリスで製造されている、地球軍の新型モビルスーツが写った写真。その情報を掴んだことで、ザフト軍はヘリオポリスへと迫っていることが判明する。


刻一刻と迫るザフト軍の手。それは戦争が迫っていることでもあった。


時間になり、クルーゼが合図したことから、作戦が開始される。



サイ「隕石か!?」




突如として始まった襲撃。揺れるヘリオポリス。


キラとサイ、少女との反応の違いが面白い。


キラやサイはこの揺れを隕石の衝突かと思ったのに対し、少女は「まさか」といったハッとした表情だ。少女のこの表情の理由は、このあとすぐわかる。


少女の目には、キラやサイたちがさぞ平和ボケした呑気な連中に映ったことだろう。



イザーク「あれだ。クルーゼ隊長の言ったとおりだな」


デイアッカ「つつけば慌てて巣穴から出てくるって?


ザフト軍精鋭部隊の初登場。


全員がイケメン揃い。これだけでナチュラル側に味方したくなる(笑)


クルーゼの言ったとおり、ザフト軍モビルスーツ、ジンの攻撃によって慌てて運び出そうとする地球軍と新型モビルスーツの様子をイザークが発見する。


イザーク「やっぱりマヌケなもんだ。ナチュラル何て


イザークのセリフから、ナチュラルとコーディネイターの対立構図、その溝の深さが明かされる。


また、崖という高いところから見下ろしてのこの発言。コーディネイターはナチュラルを見下しているという描写であることが窺える。



「ザフトに攻撃されてる!コロニーにモビルスーツが入ってきてるんだよ!


これを聞いた謎の少女はハッとし、駆け出す。それを追いかけるキラ。


非常時に人を一人にしないキラの優しさが出たワンシーンだ。



次々と攻撃を仕掛けるザフト軍。逃げ惑う市民。いきなり始まった戦闘に、平和という日常が崩れ去っていく。



少女「こんなことになってはと…私は…」


こんなことになっては…。まるでこうなることが分かっていたかのような発言。


ヘリオポリスが激しく揺れた時にキラとサイと全く違う反応、表情を見せたのはこのため。


彼女はヘリオポリスがこんなことになってしまうことが分かっており、こんなことになってしまう前にどうにかしたかったのだろう。



少女「あぁ、やっぱり…。地球軍の新型機動兵器…。お父様の裏切り者ぉっ!」


彼女はここで地球軍の新型モビルスーツが造られていることを知っていて、それを確かめに来た。こんなこと
になる原因は、あの新型モビルスーツにあることも。


地球軍の新型モビルスーツと何か関わりがある。ここら辺のことも含めて明かされるのは、まだずっと先のこと。



キラ「なら、一人だけでも!お願いします!女の子なんです!」


自身の危険を顧みずに女の子を救おうとする。そして、助けてくれた。


少女にとってキラは頼もしい男の子として、好感を抱いたことだろう。また、好印象だったはずだ。


主人公キラがどういう人物か。第1話は重要回だということを改めて認識する。


少女はこのまましばらく登場はない。



マリューさん「来い!


来た道を戻り、シェルターへと向かうキラ。しかし、そのシェルターはもうドアしかないことを知る。爆発によって道を塞がれ、やむなくキラは新型モビルスーツのある階下へと飛び降りる。


高い柵を軽々と飛び越える軽い身のこなし、あの高さから降りてもケガしない頑丈な体。


キラがコーディネイターであることの描写。高い身体能力を目の当たりにしたことで、マリューさんはキラがナチュラルではないことに気付く。


イザークのセリフに、ナチュラルとコーディネイターの違い。これが描写されることで、そこに両者の溝や線引きがあることが読み取れる。(推測できる)



キラ「アスラン…?」


アスラン「キラ…?」


撃たれたマリューさんに近づくキラ。そこへナイフを手に迫るザフト兵。


幼い頃に別れた、かつての親友との再会。


こんな状況であってもモビルスーツに乗ろうとしないのが、キラという男なのだろう。


燃え上がる炎の中で向かい合う二人が、この先の展開を予想させる。


そこでどう物語が展開していくのか。


炎の中で立ち上がるガンダム。そしてエンディングへ。




対岸の火事、ぬるま湯の中立国、そこへ突如として襲う戦争、敵として現れたかつての親友。ナチュラルとコーディネイターの対立と溝。その中での人間関係。友達。


SEEDのテーマや世界観を提示し、主人公であるキラを見せていく。第1話は正に視聴者に提示する回。


キラがどういう流れ、状況でガンダムに乗るのか。そこが見所の一つだろう。


ガンダムが起き上がり、大地に立つ。次回は第1話の布石が全開する戦闘回となる。


もっと他に触れたい、書きたいことはあるのだが、それは別記事でこと細かく触れていくことにする。(以降の回も同様)