2025.5.29~30
ボルジョミ⇒アハルツィヘ 1泊旅行
最後の最後に思わぬ出会いが!
今回のボルジョミ⇒アハルツィヘ1泊旅行は、まさにジョージア旅行の締め括りの小旅行となりますが、大きく二つの目的がありました。
その一つは、アハルツィヘの「野良温泉」に浸かること。
その二つは、ボルジョミの「温泉プール」で泳ぐこと。でした。
それら二つの目的を無事達成することが出来たのですが、最後の最後にトンデモナイ猛者(もさ)の日本人に遭遇し、大変お世話になることになろうとは、当初思ってもみませんでした。
《エピソード1:アハルツィヘで「野良温泉」三昧!》
サボワールののぶよさんの記事に、アハルツィヘの「野良温泉」のことが書かれており、これは絶対に行って浸かってみようと思っていました。
アハルツィヘに着くと、何はともあれ、真っ先に野良温泉を探し訪ねました。
街の中心地から歩くこと1.5㎞。荒涼とした辺鄙な場所に突如巨大なホテルの建物が現れ、そのオーナーに訊ねると、野良温泉の場所を教えてくれました。
ポツンと巨大なホテルが・・・
おー!あった!あった! 思わず歓声を上げてしまいました。
感動の入浴シーンを是非ビデオでご覧ください。3分間の短編です。
余りの気持ちよさに1時間以上浸かっていました。
《エピソード2:日本人の「猛者」に遭遇!》
最終日にアハルツィヘの「ラバティ城」を見学し終わって出口を出ようとした正にその時、「あれ、日本の方ですか?」と声をかけられました。それが「S」さんです。
Sさんも私と同じく今日が旅行の最終日で今晩トビリシに帰る予定であるとのこと。
トントン拍子で話が纏まってSさんの車でトビリシまでご一緒させて貰うことになりました。
Sさんは次のような行程でジョージアの(危険地帯も含めて)隅から隅まで単身でドライブしてきた猛者です。 上には上がいるもんです!
彼は旅行中、検問で止められ、警官がパソコンを操作して「あんたはここに来るまでの幹線道路で4回もスピード違反をしている。罰金は全部で800$だが、ここで罰金を払えば半額の400$にしてやる。」と持ち掛けられたそう。Sさんは安全運転に徹していたので違反をしていない自信があったため、パソコンの記録は単に監視地点を通過した記録に過ぎず、この話は警官による詐欺だと見抜き、「半額にしてくれなくて良いです。全額をレンタカー会社に請求してください。」と言って切り抜けたそうです。
他にも武勇伝が色々。 とにかく凄い人なんです!
Sさんは温泉マニアで、世界中の秘境の温泉を訪ねてレンタカーで旅をするのが趣味だそうで、今回の旅の目的もジョージアの秘境温泉巡りをすることだったそう。
ところがアハルツィヘの野良温泉のことはご存知なかったので、早速ご案内して一緒に温泉に浸かることにしました。 その時の写真がこれです。
Sさんはアハルツィヘの野良温泉以外にも、もう一か所秘密の温泉があることを調べてあり、そこにもご一緒しました。 その時の写真がこちら。
ここは「ゲルケリ温泉」という秘湯中の秘湯。レンタカー無しでは来られません。
この時は着替えるのが面倒臭いので、二人ともスッポンポンで温泉に入っています。
この時点で時刻は確か15:00過ぎ。Sさんのフライトは確か今夜の22:00頃。
この余裕は何よ! とても今晩日本に向けて帰る人の行動とは思えません。
トビリシに戻る途中、アハルツィヘのバザールを見学して、豚肉を斧で叩き切ったヤツを衝動買いしたり、名も知らぬ修道院に立ち寄って見学したりしながら、最後は私のゲストハウスの真ん前まで送り届けていただきました。
後日談ですが、Sさんとは、6月14日に代々木公園で開催された「ジョージアフェス」で再開することが出来ました。
実は私が彼の車の中に濡れた水着や洗面具を置き忘れてしまったのですが、Sさんは
チャンと洗濯して持って来て下さいました。
Sさんには本当に一方ならぬお世話になったのでした。
《エピソード3:アハルツィヘの「ラバティ城」 》
Sさんに遭遇したアハルツィヘのラバティ城とは、まるでテーマパークのような可愛らしいお城です。
しかしながらお城の歴史は古く、城の建造は9世紀に遡るのだそう。
城の建造後、様々な外国勢力の侵略を受け、16世紀後半以降は200年間に亘りオスマン帝国の統治下に入ったことから、城内にはモスクやマドラサ(イスラム教の神学校)などの施設が多く残ることとなったそうです。
このお城の塔の上からの眺めはなかなかキレイでした。
《エピソード4:アハルツィヘで泊った最安値の宿 》
私の旅のスタイルは、必ず事前に宿を予約していく主義なのですが、この時期は何処も空いていそうだったので、敢えて予約をせず現地で飛び込みで宿を探すことにしました。
Booking .comで最安値の宿を調べると、観光に便利そうなロケーションに良さげなゲストハウスがあったので行ってみました。 ゲストハウスの外観です。↓
敷地内に入って声をかけても反応なし。
母屋と思しき建物の2階に上がって声をかけると、オーナーのオッサンがズボンを履きながら「スマン、スマン。寝ちゃってた!」と言いながら出てきました。
「予約していないんだけど、泊れる?」と訊くと、「OK,OK. No probrem!」と言って部屋に案内してくれました。 その部屋がこれ。↓ トリプルルームです。
専用バストイレ付です。
キッチンも自由に使えます。↓
これで1泊22GEL =1,200円 最安値の宿でも全く申し分ありません。
オーナーのご家族と集合写真を撮りました。
《エピソード5:ボルジョミの「皇帝の温泉」 》
ボルジョミ中央公園の奥に「皇帝の温泉」と呼ばれる温泉施設があると聞いて、楽しみにして行ってみました。
結論から言うと、温泉というよりも温水プールのように温度が低く、温泉に浸かって癒されるという雰囲気ではありませんでした。
でも往き帰りの中央公園のハイキングはとても気持ち良かったです。
ゴンドラで公園の高台まで行けるようです。
中央公園の入り口近くには「エカテリーナの泉」と呼ばれるミネラルウオーターの飲泉所がありました。
その味は「鉄分と塩分を含んだ硫黄臭い温いお湯」といったもので、とてつもなくマズい代物でした。 身体に良いと云うことなので、我慢して5口飲みましたがそれが限界でした。ボルジョミは、同名のミネラルウオーターが市販されているくらいなので期待していたのですが、期待外れでした。
《エピソード6:ボルジョミの街歩き 》
ミネラルウオーターで有名なボルジョミは緑豊かな可愛らしい街。
のんびり街歩きを楽しみました。
ボルジョミの鉄道駅舎↓ ソ連時代の完成です。
かつてはモスクワからボルジョミまでの直通列車が走っていて賑わっていたそうですが、今はトビリシ⇔ボルジョミ間の1日二往復の列車が停まるのみで寂れています。
ボルジョミの街中を流れるボルジョムラ川。
この川沿いに中央公園まで延びるメイン通り《4月9日通り》がお洒落です。
特徴的なデザインの橋がありました。
立派なホテルが建っていました。2016年開業のCrown Plaza Hotel です。
評判の良いレストラン「リラックスRelax」で昼食を取りました。
オーダーしたのは鱒の唐揚げ。↓ 左右の向きが逆なのはご愛嬌。
皮はパリッと、身はシットリ。 大変旨かった! チャンと向きを直して食べました。
完食です! 旨かったー!
お土産屋さんの屋台。 私はここで松ボックリ入りの蜂蜜をお土産に買いました。
実は蜂蜜ではなく砂糖で煮詰めたもの。ジャムを意味する「ムラバ」と呼ばれます。
そのムラバがこれ。↓ 松ボックリはトロトロに柔らかくなっていて食べられます。
味は松ヤニの香りがしますが強過ぎず美味しいです。 喉や気管支の病気に効くとか。
ロシア帝政時代を思わせるお洒落な建物が並んでいます。
中でもこのフィルゼ(Firuzeh)と呼ばれるパステルカラーの建物が目を引きます。
1892年にトビリシ在留のイラン大使によって建てられた館で、今はホテルになっています。 細部の造りにイランらしさが見られます。
テラスの天井に貼られた鏡がキラキラと反射して美しい!
ホテルのロビーを撮影させてもらいました。
突き当りがボルジョミ中央公園のゲートです。
夕食は、「安くて旨くて良心的なお店」としてサボワールに紹介されていた、
「Cafe Tourist」でいただきました。
店内は独特の感性でゴテゴテ。
ビーフストロガノフを頼んだら、こんなのが来たー!
ほじくったら下からビーフストロガノフが出てきました。 味はフツー。
ボルジョミの街歩きはここまで。
《エピソード7:バスの中での小さな感動 》
いよいよ最終日。 空港行きのバスに乗って、メトロカードを機械に翳しましたが反応がありません。残金が0になっていたのです。 現金は受け付けませんので、困ったな…と思っていると、横にいた青年がサッと自分のメトロカードを機械に翳して支払ってくれました。
私はお礼を言って現金を渡そうとしたのですが、男性は「いいよ、いいよ」と言って頑として受け取りませんでした。
運賃は1GEL=55円と安いとはいえ、私だったら見ず知らずの旅行者に同じようなことをしてあげられるだろうかと考えた時、小さなショックと感動を覚えました。
そういう好意をさり気なくしてあげられる人間にならなくては…そう思いました。
その時の写真がこちらです。↓
旅の最後に受けた親切は、ジョージアという国全体のイメージを良くしてくれたばかりでなく、私自身の人間性に強く反省を迫るものでもありました。
「青年! 恐れ入ったゼイ!」
彼も空港まで一緒でしたので、もう一度お礼を言って別れました。
飛行機は定刻通りドーハに向けてTake off しました。
雪を戴いたコーカサスの山が別れを惜しんでくれているようでした。
ドーハでの乗継も極めて順調でした。
《 旅の総括 》
変化に富んで、楽しく充実した今回のジョージア旅行。
トラブルもなく、何もかもスムーズに運んで、ラッキー&ハッピーでした。
5月という季節に訪れたことは、正解だったと思います。気候的にも暑からず寒からずで快適で、観光客も比較的少なくて良かったと思います。
首都トビリシのヨーロッパ感とアジア感とロシア感が混ぜこぜになった独特の雰囲気。コーカサス地方のスイスを思わせる雄大な景色。国中に点在する教会や修道院。
民族の攻防が繰り返された深い歴史。ジョージアには汲めど尽きせぬ魅力が一杯に詰まっていると感じました。
物価の面に関しては、ここ数年の値上がりは著しいものがありますが、宿泊費と公共交通機関の交通費は驚くほど安くて助かりました。飲食費は思ったより高くなっているようでしたが、お店を選べばまだまだ安くて美味しいものが食べられます。
治安の面では危険を感じたことは一度もありませんでした。人々は皆さん親切で、日本に対しては好感情を持ってくれているように感じました。
出来ればもう一度ゆっくり訪ねてみたい国です。