2023.7.24

 

サイドから伊勢海老を貰った!!!

 

今朝、いつものように港の方へ散歩に行くと、サイドとモハドの船が止まっていました。

「あれ? いつの間に着いたんだろう? 昨日、双眼鏡で見ていた時には泊まっていなかったのにな。」と家内と話しながら近付いてみると、船には誰も居ません。

「きっとまだ船の中で寝ているんだろう。」と港の入り口まで帰りかけた時、モハドが向こうからやって来ました。

「やあ、お早う! サイドはどうしてる?」と訊くと「船に居るよ。」と言います。

私は、彼らを我がアパートでの朝食に招待してもいいな…と思いながら、モハドと一緒に船に戻ると、サイドが居ました。

「やあ、お早う? 元気かい?」とお互いに挨拶をすると、サイドがビニール袋に入ったものを差し出して「これ好きかい?」と訊きます。

何だろうと思って中を覗くと、沢山の伊勢海老が入っているではありませんか!

「もちろん大好きだよ!」と言うと、「あげるよ。」と言います。

「とんでもない。こんなに高価な物をタダで貰う訳にはいかないよ。お金を払うよ。」と言って、財布を出しました。
サイドはチョッと躊躇ったような表情をしましたが、「じゃ、20€でいいよ。」と言って20€札だけ受け取ってくれました。

サイドはビニール袋の口をシッカリ縛って、「他の人に見せないようにね。」と言います。

「了解!有り難う! ところで朝飯は済ませたのかい?もし未だだったら、朝飯をご馳走したいんだけど、どお?」と訊くと、「これから漁に出なければならないんだ。代わりに今晩9時頃に港のカフェでお茶でもどうだ?」と言うのでOKしました。

 

 

ビニール袋を提げて、戻りかけた時、折悪く船長がバイクでやって来るのとすれ違いました。「お早うございます、キャプテン!」と挨拶しましたが、船長はジロッと私の持っているビニール袋に目をやり、直ぐに目をそらして黙って通り過ぎて行きました。何だか怖い顔をしていたように感じました。

 

私は『船長に見つかったのは不味かったなー。サイドが勝手に漁の獲物を私にくれてしまったので、船長から叱られるんじゃないかな。しかもお金を受け取ったとなると、獲物を勝手に横流ししたことになっちゃうからなー。』などと心配になりました。でも、もうどうしようもないので、今晩サイドに会った時に訊いてみることにしました。

 

 

 

先にアパートに戻っていた家内に袋の中を見せると「ワー凄い!一体何尾入っているの?」ということで、袋から1尾づつ取り出してみました。

何と、全部で6尾も入っていました。「これじゃ、20€じゃ申し訳なかったなぁ。」「そうよ、レストランだったら、1尾で20€以上するわよねぇ!」などと大騒ぎ。

 

 

早速、2尾を新鮮なうちに刺身で頂くことにしました。

 

捌き方をネットで調べて、調理開始。

胴体と頭の間から、ナイフを頭の方に向けて差し込み、グルっと身を切り離した後、

 

タオルを絞る要領で胴体を頭からもぎ取ります。

もぎ取った胴体の腹側と背中側の殻をハサミで縦に切断し、身も包丁で切断します。


そしてスプーンで慎重に殻から身を剥がすと綺麗に取れました。

 

取り出した身は、氷水で〆てから頂きます。

わさび醤油で食べると、「う~ん、甘い!旨い!」と思わず叫んでしまうほどの旨さ!プリプリの歯応えある食感と海老の濃厚な香りが口いっぱいに広がり、飲み込むのが勿体無いくらいです。

 

 

二人で興奮しながら2尾を刺身で食べると十分満足したので、残りは冷蔵庫に保管して後で別の調理方法で頂くことにして、いつものお気に入りのビーチに向かいました。

ビーチで寝ながらも、「旨かったねー!」「最高だったわ!」と暫くは感激が冷めやらず、伊勢海老が頭から離れませんでした。

 

 

 

3時ごろビーチから戻り、第2弾の調理開始です。

 

次の2尾は塩茹でにすることにしました。

 

沸騰させた湯に塩を入れ、7分程茹でて取り出し、頭から胴体をもぎ取ります。

 

 

刺身の時と同じように背と腹の殻をハサミで切り、身を取り出します。

 

 

これにガブリッと食らいつくと、いい塩加減でホワンホワン・プリンプリンの歯応えの海老の身がたまらなく旨い! 濃厚な旨味が口一杯に広がり、海老の香りが鼻腔を直撃します。

「この食べ方がシンプルで一番旨いね!」「そうね、この頭の中の味噌がたまらなく美味しいわね!」などと言いながら、二人で1尾づつチュパチュパしながら貪り尽くしました。

 

 

 

第3弾は、バターソテーにしようということで二人の意見が一致しました。

 

フライパンにオリーブオイルとバターを溶かし、たっぷりのニンニクと共に、包丁で真っ二つにした伊勢海老を投入して両面を炒め、白ワインを注いで蓋をして7分蒸焼きにします。

 

これも旨くない訳がありません!

バターとニンニクの香りが海老の旨さを引き立てて頗る級の旨さです!

どこかで食べたような味だな…と思ったら、レッドロブスターの味でした。

 

 

 

この時点で二人のお腹はかなり一杯になってきましたが、まだ続きがあります。

 

第4弾は、伊勢海老のパスタです。

 

タップリのニンニクとタマネギ、ニンジン、茄子を炒めたところに、6尾分の頭を4等分にかち割って投入。白ワインを注いで蓋をして蒸し焼きにします。

すると頭の部分に残っていたミソが溶け出し、最高に旨いパスタソースが出来上がります。

そこにアルデンテに湯掻いたパスタを絡めて伊勢海老パスタの出来上がりです。

今回は敢えてトマトピューレを加えず、ペペロンチーノベースに仕上げました。

 

 

二人ともかなりお腹に来ていましたが、旨いものは不思議と食べられるもので、多めに茹でたパスタを完食してしまいました。

 

 

満腹になって眠気に襲われたので、サイドと会う時間まで一寝入りすることにしました。

20:45に家内に起こされて、急いで支度をし、パソコンを持って港に急ぐと、階段の上のカフェから「ヨシ!」と呼ぶ声がします。見上げるとサイドが手を振っていました。

 

一番に、伊勢海老のお礼を告げた後、気になっていた船長から叱られなかったかどうかを尋ねました。

サイドは首を振って、「船長は怒ってなんかいなかったよ。あの海老は、自分用に分けておいたものだから大丈夫だよ。それに、20€は船長に渡したよ。」と言います。

流石、サイド! フェアーな対処は立派です!

「あー、それを聞いて安心したよ。ずいぶん心配してたんだ。それにしても、あなたの分を全部貰っちゃってすまなかったねぇ。」と言うと、サイドは笑って「なんも、なんも!」というジェスチャーをしました。

 

それからは、お互い片言の英語と、英語が通じない時はGoogle翻訳でアラビア語に翻訳して筆談で会話を進めました。私のパソコンでもミミズが這ったようなアラビア文字が出て来るのでビックリです!

 

彼は52歳で、一人の妻と三人の息子と二人の娘がいるそうです。

彼はエジプトでも漁師をしていたそうです。

ギリシャに出稼ぎに来た理由は訊きそびれましたが、なかなか腕のいい漁師らしく、大柄なサイドの身体よりもデカいマグロや、何本もの大きなカジキマグロを釣り上げた写真を見せてくれました。いずれも地中海での釣果だそうで、居るところには居るもんだな~と感心しました。

 

彼はイスラム教徒で、お酒も飲まないし、豚肉も食べないとのことでした。

鶏肉は食べるということだったので、明日漁から戻ったら、鶏のから揚げを作って届けるから、モハダと一緒に食べてくれるように言いました。「日本の味噌汁は飲んだことはあるか?」と訊くと「無い」ということだったので、「海老のミソが入った味噌汁は旨いぞ!」と言って、一緒に持っていくことにしました。

漁場の関係で帰る時間が未定なので、果たして料理のデリバリーが上手く行くかどうか不安ですが、やれるだけのことはやってみようと思います。

 

そしてお互いにe-mailアドレスを交換し、FBの友達登録をし、メッセンジャーで対話が出来るようにしました。

「今回のことは本当に感謝しているよ。何時までも友達でいようね。日本から時々メールを送るよ。」と言うと、彼も「あなたと出会えて良かったよ!」と言って、固く握手を交わし、店のウエイトレスに写真を撮って貰いました。

 

サイドたちは明朝の未明(5時頃)に漁に出なければならないとのことでしたので、早めに切り上げカフェを出ました。

 

サイドとモハダは、港の近くの部屋を借りて一緒に住んでいるとのことだったので、彼らの家の前まで一緒に歩いて行きました。

彼らの家の場所は、我々が朝の散歩で通ったことのある小学校の近くでした。

家の前で「お休み」を言って、また握手をして別れました。

 

私はいつも夜は早く寝てしまうか、PCに向かってブログを書いていますので、夜の街を歩くのは初めてでしたが、昼間は閑散としているカフェやレストランが煌々と照明を点けて、沢山のお客で賑わっているのを見ると、なんだか嬉しくなります。

 

夜の街並みも大変美しいので、やっぱり偶には夜の街も散歩してみるべきだな…と痛感しました。

 

 

 

何だか今日はとても長くて充実した一日だったように感じます。

いまだに口の中に伊勢海老の香りが残っています。