2023.7.20

 

アスティパレア島の水事情調査

 

『アスティパレア島の水事情はどうなんだ?』とのご下問が、私のブログの数少ない読者である友人「I」さんからありましたので、早速、リヴァディ(Livadi)の丘の上にある貯水池の視察に行ってきました。

 

リヴァディまでは、港の入り口にあるペラギアロス(Peragialos)の停留所から出るバスで向かいます。(ここから歩くとホラの町への登り坂がきついので…)

バスの走行ルートです。

バスは我がアパートの前を通って、かなり迂回しながらリヴァディへ向かいます。

 

すでに顔馴染みになった運転手のアディモス(Adtimos)に、「ここに行きたいんだ」と事前にGoogle mapの 地図を見せていたので、彼はリヴァディの町の手前の、貯水池に一番近い場所でバスを停め、私を降ろしてくれました。

他の乗客は、何もない所で降りる私を不思議そうな顔をして見ていました。

 

バスを降りた所から貯水池までの経路

 

リヴァディの町を見下ろす、緩い上り坂の埃っぽい舗装道路をテクテクと歩きます。

左手にリヴァディの村が広がります。牧場や果樹園が多いように思われます。

 

行く手には、写真右手の水平な堤防のような地形が望めます。そこなら近くていいのですが、写真奥の白く輝いて見える稜線まで歩かなければならないとしたら、かなり遠そうだな…と心配になりました。

 

しばらく歩いてゆくと、後ろから一台の車が近づいてきました。

迷わず手を上げると、その車はゆるゆるとスピードを落とし止まってくれました。

していた老人にGoogle mapの地図を見せて「ここに行きたいんだけど…」と告げると、「ああ、すぐ先だよ。」と前方を指さします。

「Ευχαριστώ(エフハリスト=アリガトウ)!」と言って歩き出そうとすると、老人は「乗っていくかい?」と言って、助手席の荷物を後ろにどかしてくれました。

「おー、有り難う!」と喜んで乗せてもらい、道々お話をしました。

車に乗せてくれたJorgie(ジョージ)

 

「どこから来たんだい?」

「日本の東京から来ました。」

「ああ、東京かぁ。でかい町だよね。」

「ご存じですか?いらしたことあるんですか?」

「友人が日本の女性と結婚してね。東京とそれからいくつかの都市の名前を聞いたんだけど、忘れちゃったな。」

「名古屋、京都、大阪、神戸…?」

「ああ、大阪だ!いい所らしいね。名古屋のことも言ってたな。」

 

そんなことを話しているうちに、車が坂を上がると目の前に急に大きな池が広がりました。

おー!結構デカいじゃん!


私を降ろした車は、Uターンしてもと来た道を戻って行きました。わざわざ寄り道して送ってくれたようです。私はまた「Ευχαριστώ」と言って手を振って見送りました。

 

 

 

 

貯水池の水は黄緑色に濁っていましたが、水量は十分あるように思われました。

 

 

遠くの高い山の岩肌が白く雪を頂いたように見えましたが、石灰岩の崖が白く輝いているだけだと思われます。

 

湖岸の景色は単調であまり趣が無かったので、一周することはせず、水を堰き止めている直線的な護岸堤防の上を歩いて、対岸に見える青いドームの教会を目指しました。

 

 

護岸堤防は行き止まりになっていて、そこにはスキーのジャンプ台のような放水路が設置されていました。

放水路の傾斜はどうにか歩いて下りられる程度のものでしたが、立ち入ることは憚られたので、脇のガレ場の坂を転ばないように一歩一歩慎重に降りて行きました。

 

放水路を下から見上げた写真を撮って、向かいの教会に辿り着きました。

 

教会の境内には赤いシャツを着たオジサンが居ました。

「中を拝観させていただいていいですか?」とジェスチャーで示すと、「ああ、どうぞ。」というような仕草で答えてくれました。

 

 

 

この島の教会はどこも、扉が閉まっていても鍵は掛かっておらず開けられます。

 

教会の中は典型的なギリシャ正教の様式で、イコンが飾ってある他は、特段の特徴はありませんでしたが、一応写真やビデオに納めました。

 

 

 

 

 

教会を出て、リヴァディ・ビーチに向かって歩いていると、一人のお婆さんが肩から荷物を下げて杖を突きながら歩いていました。

「カリメーラ。ビーチに行くんですか?荷物を持ちましょうか?」というと、

「サンキュー。ご親切に有難う。でも軽いから大丈夫ですよ。」と英語で答えます。

「私は日本から来ました。どうしてそんなに英語が上手なんですか?」と訊くと、

「私は70年もアメリカに居たのよ。」と答えます。

「へー、70年も! で、なぜこちらに移ってこられたのですか?」

「主人がこの島の出身なもんだから…。」

「アメリカはどちらでしたか?」

「ニュージャージーよ。」

「私の娘家族はカリフォルニアに住んでますよ。ニュージャージーとこの島とどちらがお好きですか?」

「この島に来てから未だ数年だから、やっぱりニュージャージーの方が良いわ。」

 

…ということは、このお婆ちゃん、私と同じくらいの齢なんだな。だけどずいぶん老けて見えるな…?とい思いましたが、もちろん言葉には出しませんでした。

 

「あなたはギリシャ料理はどう?」

「いやぁ、やっぱり日本料理の方が好きですね。」

「日本料理はおいしいわよね。私もアテネに行ったりNYに行ったりしたときは日本料理を食べるわ。お鮨が好きよ。」

「ははは。でも高いよね。」

「本当にね。ところであなたはどこに滞在しているの?」

「港の近くのアパートメントを借りて住んでいます。」

「車を持たずにバスと歩きで移動しているの?」

「そうなんですよ。1日くらいレンタカーを借りようかとも思ったんだけど、こっちの車は殆どがマニュアル車なので運転できないんですよ。」

「そうなのよね。私の子もこの島に来てレンタカーを借りようとしたんだけど、止めたみたいよ。」

 

そんな会話をしながら、ヤギやニワトリが放し飼いになっているミニ牧場や、ブーゲンビリアが綺麗に咲いている住宅の前をゆっくり歩いていると、漸くビーチが見えてきました。

 

 

一緒に写真を撮りましょうと言うと、「まあ、私と?有り難う、ありがとう!」といって喜んで写真に納まってくれました。

彼女の名前はアンドレア(Andrea)、可愛いお婆ちゃんでした。

 

リヴァディ・ビーチ発11:30のバスは僅かな差で乗り損ねましたので、次の12:30発のバスが来るまでビーチサイドの木陰で涼みながら待つことにしました。

 

このビーチは、この島に着いたその日に来た懐かしい場所です。

 

アパートに戻ってシャワーを浴びると、家内が「お腹が空いた。なんか食べたい。」と言います。

 

それでは…ということで、私のブログにコメントを入れてくれたfumufumuさんが教えてくれた、定番のギリシャ料理「フタポドケフテデス」を作ることにしました。

 

どんな料理かって? それは次回のお楽しみ!