2023.7.17
サイドとモハダからタコを買いました!
4日前に漁に出たサイド(Sayed)とモハダ(Mohada)が今日か明日には戻るだろうと思って、部屋のバルコニーから港の漁船を双眼鏡で覗いていると、いました!いました! 船の名前の上に特徴的なブルーの魚のマークがハッキリ見えます。
彼らは既に前から港に入っていたようで、漁網の繕いをしている様子が確認できます。
急いでお財布を持って港に出かけました。
遠くから、サイド!、モハダ!、と声をかけると、彼らはこっちを向いて、「やあ、来たか!」というように笑顔を見せました。
前回の轍を踏まないように、「キャプテン、こんにちは!」と挨拶しました。
寡黙なキャプテンはわざと聞こえないふりをして網の繕いを続けていました。
そんなことは百も承知。めげずに「キャプテン!魚売ってくれませんか?」と言いながら、目でサイドに合図を送りました。
サイドは、「獲物は魚じゃなくてスタポーズィだよ。」というようなことを言いました。私は彼が何を言ったのか分かりませんでしたが、魚じゃなくても海の幸なら何でもいいや。エビでも買えればラッキーだなと思い、「OK, OK!」と言いました。
サイドはキャプテンに何やら小声で話をして、やおら網の繕いの手を止め、立ち上がって船底のハッチを開けました。心得ていたモハダが船底に潜って、大きなタコをつかみ出しました。
「なんだよー!タコかよー!」と思いましたが、いまさら後には引けません。
「How much?」と訊くと、サイドはタコを入れた袋を船長に渡しました。
船長はそっぽを向いたまま、ヒョイッと袋を持って目方を量り、何やらサイドに言いました。サイドは私に「10€でいいよ。」と言います。私もその位の値段だろうと思って、財布から出していた10€札をサイドに渡しました。そして大きな声で「Thank you captain!」と言いました。船長は相変わらず聞こえない振りをしていましたが、決して悪い気持ちはしていない筈です。
そして、サイドとモハダに何度も「サンキュー!」を繰り返し、お互いに手を振り合って別れました。
しばらく歩いて振り返ると、船長が首を上げて私の方を見ていました。船長は私と目が合うと直ぐに下を向いてしまいました。本当にシャイな船長さんのようです。
「なんだよー!タコかよー!」と思ったのには訳があります。
昨年の夏、北イタリアを旅行した際、ジェノバで茹でダコを作って食べて、顎の関節を悪くし、口が指一本分も開かなくなってしまった苦い経験があったからです。
顎の関節は帰国後1ヶ月ぐらいでかなり良くなり、口が空けられ、物が咬めるるようになりましたが、いまだに物を嚙むと顎の関節がゴリゴリ鳴って、若干痛みを感じる状況が続いているのです。
今でも食事中は顎を押さえながらゆっくり噛むように注意しているのですが、クニャクニャして嚙み切りにくいタコを食べるとまた悪くなりそうで怖いのです。
どうしたものかなー?と考えながら港のレストラン街に差し掛かった時、閃きました。「そうだレストランのシェフに相談して、半分使ってもらおう。」
レストランの中でも、魚を店先に並べてシーフードを売り物にしているお店を選んで厨房のシェフと思しき人に「このタコを今漁師から20€で買ったんだけど、あまり大きすぎるから半分こしないか?」と声を掛けました。20€と言ったのは、儲けようと思った訳ではなく、その位の価値は十分にあると考えたからです。
シェフは「オーナーに訊かないと判らない。」と言って携帯でオーナーと相談していました。目方を聞かれたらしく、秤で量っていました。1.9kgありました。
シェフは「全部を20€だったら買うけど、半分ではダメだ。」と言います。
私は、どうしようかなー?と迷いましたが、せっかく彼らが親切に売ってくれたのに、自分で全く食べずにレストランに倍値で売ってしまう訳にはいかないので、この商談は断って1尾全部を持ち帰りました。
塩で良く揉み、流水でヌメリを取って…、
足先から熱湯に浸けて茹でダコを作りました。
茹で立てのタコをワサビ醬油で食べると大変美味しいです!
だけど調子に乗って食べ過ぎるとまた顎を壊す恐れがあるので、控えめにしておきました。
ジックリ長時間かけて煮たらもっと柔らかくなるのではないかと思い、さらに弱火でコトコト煮てみたらかなり柔らかくなってきました。
このアパートの管理人(清掃係)夫妻がこの建物の一室に住み込みで働いていることを知りましたので、彼らの部屋にお裾分けを届けました。ご夫妻は喜んでくれました。
残りのタコは、明日、タコ飯にしたりアヒージョにしたりして美味しくいただきたいと考えています。
茹でたタコの頭を切ってみると、中から大量のタコの墨と肝が出てきました。
ネットで調べたところ、タコの墨はイカの墨より栄養価が高く旨味も強いことが判りました。
タコの墨には毒があるという説もあるようですが、料理すると美味しいという記事が
多かったので、試しにパスタに絡めて恐る恐る食べてみました。
ニンニクをオリーブオイルで炒め、タコの墨と肝を混ぜてパスタに絡めると、なかなか旨かったです。
それから3時間が経過していますが、今のところ二人とも生きています。
タコの墨に毒は無いみたいです。
ところで、壊れてしまった電子レンジですが、その日のうちにアントニオ2にメールで事情を説明すると、翌日には彼が新品の電子レンジを届けてくれました。
アントニオ2の対応の早さにはビックリです。