2022.5.31

 

西への一人旅 (熊野古道編)

 

朝方は、細かい雨が降っていましたが、8時にホテルを出るころには上がっていました。

 

今日は、熊野速玉大社⇒熊野本宮大社⇒湯の峰温泉を目指します。

 

賢島を出て、リアス式の英虞湾(あごわん)を左に見ながらクネクネとした道を辿ります。

 

英虞湾は松島のような島々の景色は奇麗ですが、海水は濁っていて綺麗ではありません。

 

道は海沿いを走ったり、起伏のある新緑の山道を走ったりしながら、ようやく英虞湾を抜け、広々とした熊野灘と思しき太平洋を眺めるようになりました。

 

途中、無料の高速道路を利用したりしながら、順調に熊野まで来ました。

 

熊野には、「鬼が城(おにがじょう)」と呼ばれる波と風化で浸食された断崖があって、国の名勝・天然記念物に指定され、2004年にユネスコの世界遺産にも登録された観光スポットがあると聞いたので、立ち寄ってみました。

もっと沢山見どころがあるようでしたが、先を急ぐので割愛しちゃいました。

 

熊野速玉大社はあっけないほど新宮市の街中にありました。

境内は伊勢神宮ほど広くなく、直ぐに神様とご対面できます。
神社の御門

 

ひときわ大きな社殿には、主神の熊野夫須美大神(クマノフスミノオオカミ)と熊野速玉大神(クマノハヤタマノオオカミ)が祀られています。別名イザナミノミコトイザナギノミコトのことです。

 

第三殿には素戔嗚尊(すさのおのみこと)、第四殿には天照大神(あまてらすおおみかみ)が祀られています。

神様の中で最高位にあられる天照大神がここでは第4神となっているのが印象的でした。

 

世界遺産となったことを示す碑が置かれていました。 神様もやっぱり嬉しかったようです。

 

 

次はいよいよ熊野本宮大社を訪ねます。

新宮から広々と美しい熊野川の河原を見ながら、どんどん山道を登っていきます。

 

だんだん険しくなります。

 

本宮町に着くと、直ぐに本宮大社の駐車場がありました。

駐車場の横から「熊野大権現」の奉納幟が印象的な一直線の参道と石段を登ります。

この石壇、158段あるそう。 私は体重を前にして一段置きに一気に上り詰めました。

本当は、一段一段踏みしめながら、心を静めて登るべきだったようです。

 

階段を昇り詰めると、このような広い境内がありました。 奥がご神域です。

本宮大社の社殿は朱色に塗られていないだけで、社殿の構成や、祀られている神様の配列は速玉大社と同じです。

第一殿に夫須美大神(クマノフスミノオオカミ)、第二殿に熊野速玉大神(クマノハヤタマノオオカミ)、すなわちイザナミノミコトイザナギノミコトが祀られています。

また、第三殿に素戔嗚尊(スサノオノミコト)、第四殿に天照大神(アマテラスオオミカミ)が祀られています。

 

石段を降りたところにある食堂でめはり寿司をいただきました。

驚いたことに、炊き立ての熱々のおかか味のご飯が、高菜の葉に巻かれていました。

一つはラップにくるんでもらい、お持ち帰りにしました。

 

 

さあ、次はいよいよお待ちかねの湯の峰温泉へ向かいます。

 

本宮から湯の峰温泉までは車で15分もかかりません。

センターラインのないクネクネの山道をしばらく登るので対向車に注意が必要でしたが、幸い途中一台もすれ違いませんでした。

 

湯の峰温泉は山間の小さな温泉街です。

車を降りると、ムッと硫黄温泉の匂いがしました。

 

ここが「湯筒」や「壺湯」や「温泉汲み場」がある場所で、共同浴場の受付もあります。

 

下の写真の左に見える柵で囲まれたところが「湯筒」です。

手前が「温泉汲み場」です。 地元の爺ちゃん婆ちゃんがポリタンクを持って車で汲みに来ていました。

 

「湯筒」には沸騰した温泉がボコボコ湧いています。 ここに玉子やお芋などを吊るして調理出来ます。

 

受付の券売機で「壺湯」と「薬湯」の共通券を購入して、入浴の順番を示す番号札を貰い、先ずは壺湯に向かいました。 私の番号は《1番》でした。 誰も壺湯に入る人はいなかったみたいです。

壺湯は、神社の横を通って、古めかしい売店の横を通って、この建物のところから階段を降りたところにあります。

これが壺湯の入り口です。 ここで靴を脱いで、小屋の中で服を脱ぎます。

 

レトロなランプがいい感じ!

 

岩をくり抜いた、正に「壺」のような湯船につかります。 けっこう深いです。
中が暗くて、湯船の底が見えないので、溺れないように恐る恐る探りながら入りました。

チョー気持ちいい!

 

小栗判官の物語が記されていました。

色々あって餓鬼の姿にされた小栗判官がこの壺湯に浸かって元の姿に戻れたというお話です。そこには照手姫とのラブストーリーが背景にあるのだそう。

 

壺湯の外はこんな感じで、溢れたお湯はすぐ横の川に注がれます。

制限時間の30分ギリギリまで粘って壺湯を出た時には、《2番》の札を持った男性が待っていました。 

 

私は腰にバスタオルだけ巻いて、歩いて共同浴場の「薬湯」に移動しました。
共同浴場は最近建て直されたらしく、物凄く立派で綺麗に出来ていました。

薬湯の湯舟です。 少し濁ったアルカリ性のお湯で、肌がツルツル(ヌルヌル)します。

 

これは「かかり湯」だと思われます。

 

共同浴場から車で1分のところにあるゲストハウスが今晩の宿です。

民家が立て込んだ傾斜地に建つ大きなお屋敷をゲストハウスにしたもので、名前は
「Jホッパーズ熊野湯峰ゲストハウス」と言います。 Booking.comのサイトで見つけました。

上の写真がレセプションです。 係りの女性は「アヤさん」。
早速、湯上りのビールをいただきました。 「熊野古道麦酒」という地ビールで、色はブラウンで香ばしくてとても美味しいビールでした。 帰りに買っていきたいです。

 

下の写真は大広間で、誰でもここで寛げます。
しかし残念ながら、今日の泊り客は私一人だそうで、期待した外人のゲストには会えませんでした。

 

私が大好きなキッチンです。 あらゆる調理器具と食器、調味料が揃っていて、自由に使えます。 残念ながら今回は自炊しません。

 

私が止まるドミトリーです。 カプセルホテルみたいな造りになっていました。

 

洗面台が3つ並んでいました。

 

何と、このゲストハウスのお風呂は、源泉かけ流しの良質な温泉です。

 

露天風呂もあります。

 

この温泉街には食堂が無いので、予めお弁当をお願いしていました。
それを器に並べ、電子レンジでチンして、地ビールと共にいただきました。

 

アヤさんは夜9時には帰宅しましたので、この広いお屋敷を一人占め出来ました。

外人客が居なかったのは残念でしたが、一人占めはラッキーでした。また泊まりたいです。

 

夜遅く寝る前に温泉に浸かってみましたが、湯の花が浮かぶとても良いお湯で、ぐっすり寝ることが出来ました。

 

 

グッスリ眠って5時に目が覚めました。

このゲストハウスでは、朝食に温泉で炊いたお粥が無料でサービスされます。

お供の梅干しや沢庵などの漬物も付いています。 心憎いサービスです。

温泉で炊いたお粥は生まれて初めて食べましたが、温泉の硫黄の香りがして、正に『温泉を食べている!』 という感じで、美味しかったです。 2杯もお替りしてしまいました。

 

アヤさんが出勤してくる前に、チェックアウトし、今日は十津川に掛かる「谷瀬の吊橋」や、「高野山」 を経由して、昔懐かしい「明石」方面に向かいます。