2020年6月10日

 

PCR検査を飛躍的に拡大する方法

 (ど素人のアイディア提言)

 

今回私自身がPCR検査を受けた経験を踏まえ、PCR検査が未だに諸外国並みに増えないネックが何処にあるのか、PCR検査を飛躍的に拡大するにはどうすればいいのかについて、私なりの考えをまとめてみました。

 

全くの素人のアイディアにすぎませんが、皆様のご批評をいただきながら、前向きに改善していけば、結構使えるシステムになるのではないかと妄想しております。

 

先ず、PCR検査を希望する人の立場になって考えてみましょう。

なぜPCR検査を受けたいと思うのでしょうか?

その理由は、

A.体調が悪く、かかりつけ医にPCR検査を勧められた。
B.仕事で海外に出張しなくてはならなくなり、出入国のために陰性証明書が必要になった。

C.観光目的で海外旅行をするにあたり、出入国のために陰性証明書が必要となった。

D.体調に異常はないが、仕事や日常生活を送るにあたり、陰性を確認しておきたい。

E.その他

等だと思われます。

また、地方自治体や政府の意方針で、疫学的な見地からある地域や職域を指定して、一斉にPCR検査を実施する必要が生じるかもしれません。その場合の理由を、

F.政府・自治体の要請による。

としておきましょう。

私としては、上記のどの理由もアリだと思います。

帰国者・接触者相談受付センターでのワンクッションは、医療崩壊防止の防波堤的役割はあったと思いますが、無症候感染者が圧倒的に多く、感染者全員入院という前提が無くなり、PCR検査機関も増えた今となっては、もはや無駄・邪魔な存在だと思いますので、無くすことにしました。

また、海外渡航者に陰性証明を発給し、ビジネスや観光を後押ししていく必要があることを考えると、もはや検査と治療とを原則分離し、医師の診断も不要とすべきと考えました。

 

結論から言うと、私は次のようなシステムを構築すればPCR検査の飛躍的拡大が可能になると考えます。

 

《提案する検査システムのイメージ》

 

PCR検査を希望する人は

【コロナウイルス感染症 PCR検査申し込みサイト(仮称)】(注1)にアプローチします。

②次に、このサイトの中の【PCR検査申込書】を開き必要事項をインプットします。

  申込書の中には、健康保険証記号・番号、あれば診察券番号、氏名、住所、携帯電話

  番号、PCR検査を希望する理由(上記A~Fの項目の中から選択)等をインプットします。

③次に、このサイトの中の【問診票】のページを開き、必要事項をインプットします。

  問診票の中身は、健康状態(体温、症状、既往症、服用している薬の名前、最近の海外

  渡航歴、最近の海外帰国者との接触の有無、等を記入します。

④次にこのサイトの中の【全国PCR検査機関・受入れ態勢一覧】(注2)を開き、検査可能日、

  地理的利便性等を勘案し、自分の都合の良い検査機関を選び、申込書、問診票、並び

  に本人確認資料の画像を送信します。 検査機関には、既に一部の自治体で実施され

  ているドライブスルー方式の検査機関も含まれています。  (「受入れ態勢一覧表」には

  リアルタイムで検査可能日・時間帯が表示されているイメージです。)

⑤PCR検査機関から折り返しメールで検査日時、場所、持参物、注意事項、検査費用請求

  書が返信されてきます。 検査費用は現在は全額国負担ですが、今後は申請理由[A]

    「F」の場合は今まで通り無料。「B」「C」「D」「E」の場合は有料(1回4,000円、保険対象

  外)としてはどうでしょうか。

⑥検査費用を所定の口座に振り込みます。(クレジットカード等も利用可)

  入金情報は自動的に検査機関にも送られます。

⑥指定の日時に検査機関へ赴き、検査を受けます。

  申請理由「A」の場合、および検査当日発熱等の症状があり、医師が必要と判断した場

  合、検査の前にオンライン診療で診察を行います。(状況により別途診療費・処方箋料

  が発生する場合があります。)

⑦検査結果が検査機関からメールで送られてきます。

  陰性の場合、このメールが陰性(陽性)証明書も兼ねることになります。

  (別途正式な【陰性証明書】(和文&英文・検査機関の押印アリ)が必要な場合は、有料で発行

  も可能です。1通3,000円?)

  陽性の場合には、最寄りの保健所に自動的に連絡が行き、保健所の担当者から細かな

  指示がなされます。状況に応じ、入院またはホテル等の施設での隔離となります。

⑧検査結果は、自動的に国・地方自治体の統計に直ちに集約され、新規陽性者数、検査日

  ベースでの陽性率などにリアルタイムで反映されます。

 

このシステムにより、

①保健所や帰国者・接触者外来窓口のマンパワーが節約でき、迅速に検査が受けられる。

②検査機関窓口での問診票や保険証の受渡し業務に係る医療従事者の負担を減らせる。

③診察・治療と検査とを原則分離することにより、医師の診察に係る負担を減らせる。

④必要があれば遠隔診療を活用することで、医師への感染リスクを減らせる。

というメリットが得られると思います。

 

今後、第2波、第3波の襲来が懸念される中、従来の組織や旧態然たる規制や省庁の縄張り意識(注3)を思い切って切り捨て、簡素化した効率的なシステムを確立しておく必要があると思いますが如何でしょうか。

 

唾液での検体自己採取が可能になれば、検体採取に係る医療従事者配備の必要がないため、検査可能機関は大幅に拡大すると思います。

しかし、身代わり検査や不正検査で陰性証明書を入手しようとする不逞な輩も現れるでしょうから、あくまでも被験者本人が検査機関に出向く必要はあると思います。

 

(注1)【コロナウイルス感染症 PCR検査申し込みサイト(仮称)】は、今回新しく開設するサイトです。 このサイトは、厚労省のHPの中に、新型コロナウイルスのあらゆる情報が一元的に集約された「新型コロナウイルス・ポータルサイト」を立ち上げ、その中の一つのサイトとして位置付けるのがよいと思います。

 

(注2)【全国PCR検査機関受入れ態勢一覧】は、全国のPCR検査機関が網羅された一覧表で、今回新しく開設するサイトです。 各機関ごとに、向こう1か月間の検査受入れ可能人数がリアルタイムで表示されている。

このサイトは上記の「新型コロナウイルス・ポータルサイト」の中に含めるのがよいと思います。

 

(注3)従来の組織や旧態然たる規制や省庁の縄張り意識」とは具体的に言えば、このブログの最下段に引用している日本経済新聞・電子版の記事にあるような内容を指します。

 

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話は少し変わりますが、スマホに話しかけると、人工知能(AI)が声や呼吸音から肺の状況を解析するアプリが開発されたというニュースが報じられました。

欧州の専門家集団、ボイスメドが開発した簡易診断技術で、8割超の精度でコロナ感染を判定できるそうです。今年5月からイタリアで本格導入が始まったと言われます。

 

今こそ、次のようなIT先進国の成功事例を躊躇なくすべて取り入れ、新型コロナ対策へのIT技術の飛躍的活用を推進することこそ、ピンチをチャンスに替える切り札となると確信する次第です。

 

《今こそ絶対やりたい IT技術の導入による医療体制の強化》

・インターネット診療体制の確立(多くのIT先進国で普及・日本では立ち遅れ)

・インフルエンザ患者の過去データをもとに、合併症リスクをAIで診断(イスラエル)  

・集中治療室の病院別空床率をネット公開(ドイツ)

・声データでコロナ感染を診断する技術を開発(イタリア)

・感染者を医師らが遠隔監視して重症度を分類(フランス)

・薬局のマスク在庫状況を地図で公開(台湾)

・ICチップ付き保険証でマスクの購入履歴を管理。確実な配布と買い占め防止(台湾)

・「PCR検査申し込みサイト」から効率的なPCR検査の実施を実現(本ブログで提案のもの)

 

《今こそ絶対やりたいIT技術の導入による行政対応の迅速化》

・グーグルがオクラホマ州の失業保険金給付業務にAIを導入。業務効率30倍に(米国)

・位置情報やクレジットカード履歴から感染経路を特定(韓国) 

・ブルートゥースを活用して接触者を特定・追跡(シンガポールで先行)

下水からコロナウイルスの遺伝物質を検出・解析し、感染対策に活用(フランスで先行)

(中国・インドの事例は感心しないので割愛します)

 

相手は未知のウイルスです。既存の発想にとらわれない様々なデータや技術の活用が欠かせないと思います。

 

各国の取り組みに比べ、日本の対応はお粗末というほかありません。感染者数の集計では未だにFAXベースでミスが連発。接触確認アプリの開発は遅れ、給付金のネット申請では障害が頻発。郵送による10万円給付金申請書は人海戦術による読み合わせ方式の非効率で大幅遅延…というありさまです。

日本は行政システムを政府主導で手がける自前主義が強いといわれますが、各省庁・自治体内にIT技術に精通したアイデア豊かな人材が少ないのも要因の一つでしょう。

このままではコロナ後に世界とのIT競争力格差はさらに開きかねないと心配になります。

最後に、2020/6/9付の日経電子版の記事を掲載しておきます。

コロナ対応、11年前の教訓放置 組織防衛優先で遅れ

検証コロナ 危うい統治(1)

新型コロナウイルスの猛威に世界は持てる力を総動員して立ち向かう。だが、日本の対応はもたつき、ぎこちない。バブル崩壊、リーマン危機、東日本大震災。いくつもの危機を経ても変わらなかった縦割りの論理、既得権益にしがみつく姿が今回もあらわになった。このひずみをたださなければ、日本は新たな危機に立ち向かえない。

日本でコロナ対応が始まったのは1月。官邸では「しっかりやります」と繰り返したが厚生労働省の動きは一貫して鈍かった。「どうしてできないんだ」。とりわけ安倍晋三首相をいらだたせたのが自ら打ち出した1日2万件の目標に一向に届かないPCR検査だった。

その背景にあったのが感染症法15条に基づく「積極的疫学調査」だ。病気の特徴や感染の広がりを調べるのが疫学調査。「積極的」とは患者が病院に来るのを待たず、保健所を使い感染経路やクラスター(感染者集団)を追うとの意味がある。

厚労省傘下の国立感染症研究所が今年1月17日に出した新型コロナの「積極的疫学調査実施要領」では「患者(確定例)」と「濃厚接触者」のみが検査対象とされた。検査体制への不満が広がると、2月6日に出した要領の改訂版で初めて対象者に「疑似症患者」が加わった。

とはいえ「確定例となる蓋然性が高い場合には積極的疫学調査の対象としてもよい」の限定付き。その姿勢は5月29日の最新版の要領でも変わらない。厚労省が実質的に所管する各地の保健所などもこの要領に従い、濃厚接触者に検査の重点を置いた。

それが大都市中心に経路不明の患者が増える一因となった。疫学調査以外にも検査を受けにくいケースがあり、目詰まりがようやく緩和され出したのは4月から。保健所ルートだけで対応しきれないと危機感を募らせた自治体が地元の医療機関などと「PCRセンター」を設置し始めてからだ。

自らのルールにこだわり現実を見ない。そんな感染症対策での失敗は今回が初めてではない。2009年の新型インフルエンザ流行時も厚労省は疫学調査を優先し、PCR検査を感染地域からの帰国・入国者に集中した。いつの間にか国内で感染が広がり、神戸で渡航歴のない感染者が見つかると、関西の病院を中心に人々が殺到した。

厚労省は10年にまとめた報告書で反省点を記した。「保健所の体制強化」「PCR強化」。今に至る問題の核心に迫り「死亡率が低い水準にとどまったことに満足することなく、今後の対策に役立てていくことが重要だ」とした。実際は満足するだけに終わった。

変わらない行動の背景には内向きな組織の姿が浮かぶ。厚労省で対策を仕切るのは結核感染症課だ。結核やはしか、エイズなどを所管する。新たな病原体には感染研や保健所などと対応し、患者の隔離や差別・偏見といった難問に向き合う。

課を支えるのは理系出身で医師資格を持つ医系技官。その仕事ぶりは政策を調整する官僚より研究者に近い。専門家集団だけに組織を守る意識が先行する。

官邸で「大学病院も検査に使えば」との声が出ても、厚労省は文部科学省が絡む大学病院での検査拡充に及び腰だった。首相は周囲に「危機なんだから使えるものはなんでも使えばいいじゃないか」と語った。誰でもそう思う理屈を組織防衛優先の意識がはね返す。

「日本の感染者や死亡者は欧米より桁違いに少ない」。技官はコロナ危機での善戦ぶりを強調するが、医療現場を混乱させたのは間違いない。「病院があふれるのが嫌でPCR検査は厳しめにやっていた」。4月10日、さいたま市保健所長がこう話し市長に注意された。この所長も厚労省技官OB。独特の論理が行動を縛る。

02年の重症急性呼吸器症候群(SARS)、12年の中東呼吸器症候群(MERS)を経て、韓国や台湾は備えを厚くした。対照的に日本は足踏みを続けた。厚労省に限らない。世界から一目置かれた日本の官僚機構は、右肩上がりの成長が終わり、新たな危機に見舞われるたびにその機能不全をさらけ出してきた。

バブル崩壊後の金融危機では不良債権の全容を過小評価し続け、金融システムの傷口を広げた。東日本大震災後は再開が困難になった原発をエネルギー政策の中心に据え続けた。結果として火力発電に頼り、温暖化ガス削減も進まない。

共通するのは失敗を認めれば自らに責任が及びかねないという組織としての強烈な防衛本能だ。前例や既存のルールにしがみつき、目の前の現実に対処しない。グローバル化とデジタル化の進展で変化のスピードが格段にあがった21世紀。20世紀型の官僚機構を引きずったままでは日本は世界から置き去りにされる。

 

以上、画像もなく、面白みもない駄文を長々とお読みいただき有難うございました。