2019.8.29
ポルト・デ・ソイエールとカラ・デイア紀行
パルマ滞在中のメインイベントと位置付けていた、観光列車「ソイエール鉄道」を利用してのポルト・デ・ソイエール訪問には、天気予報と睨めっこして最も天気が良いと思われるこの日を割り当てました。
ある人のブログで、ソイエール鉄道は観光客で大変込み合うので、往復をソイエール鉄道で行くよりも、バスでポルト・デ・ソイエールまで先回りして行ってしまい、帰りにレトロな観光列車のソイエール鉄道に乗った方が得策であるとの意見が掲載されており、私もその意見に賛成で、往路はバスを利用することにしました。
バス乗り場はパルマ鉄道駅の地下2階のバスターミナルで、バスの番号は211番。
朝8時のバスで出発して、8:35にポルト・デ・ソイエールに着きました。
バス代は片道一人€2.95でした。ソイエール鉄道が片道€18であることを考えると大変安いです。
後で判ったことですが、ポルト・デ・ソイエールへのバス路線は211番と210番の二通りあります。我々が乗った211番の方はトラムンタナ山脈を超えずに、トンネルを通ってしまう上に、折角の美しい海岸線を通らないため、210番のバスに比べて、早いのですが途中の景色は綺麗ではありません。
バスはトラムンタナ山脈へ向けて…
早朝のポルト・デ・ソイエールは静かでした。
港に添って線路が敷かれており、ここからソイエールの町まで路面電車が走っています。(ソイエール鉄道で来た場合は、この路面電車を利用することになります。)
港の印象は、静かで鄙びてはいるというものの、それ以上のものはなく、他にもっと素晴らしく趣のある漁港を見てしまっている我々にしてみると、正直『うーん…、まあね…。』という印象でした。
鄙びた港です
それなりに美しい眺め
サクサクッと港を往復した後、美しいと評判の、カラ・デイアに行ってみることにしました。
このバスは何と前述した210番のバスで、峻険な崖っぷちに造られた細い山道をクネクネと進みます。途中見え隠れする眼下の海の景色はとても美しく、スリルも満点で、どうせ乗るなら210番のバスの方がお勧めだと思いました。
30分ほどでデイアの町に着きましたが、山の上です。ビーチなんてありそうもありません。
バスを降りたお客さんは皆さんトレッキングシューズを履いています。サンダル履きは我々だけ。
イギリスから来たというご夫妻と一緒に地図を見ながらビーチへ降りることにしました。
ご夫妻はデイアのビーチで泳いだ後、ポルト・デ・ソイエールまでトレッキングをするそうで、やはりそれなりの格好をしていました。
ビーチへ降りる道は結構険しく、ゴロゴロとした岩や石でとても歩きにくかったです。
こんなのは序の口でした
家内のサンダルの鼻緒が切れるといけないので、ゆっくり行くこととし、ご夫妻には先に行ってもらいました。
それよりも、帰りのことを考えると、どうなることかと気が重くなってしまいます。
まあ、タクシーを呼んでもらえばいいし、最悪の場合ヒッチハイクという手もあるので、あまり先のことは考えずに足元に集中することにしました。
30分ほどかけて、ようやくのことでビーチに辿り着きました。
ビーチは私好みの断崖に挟まれた小さな入り江で、カフェが2軒あります。水も透明で美しいのですが、難点はゴロゴロとした石の海岸で、砂浜はありません。ゆっくり寝転んで日光浴をする場所が極めて限られています。
皆さん早い者勝ちで、船を下ろすスロープの脇や、狭い船着き場のコンクリートの上、はたまた打ち上げられた海藻の溜まり場などにシートを敷いて寝転んでいます。それ以外の人はボーッと岩の上に座っているしかありません。
一言で印象をいうと、『なんか落ち着かないビーチだなー。』『何となく寛げないビーチね。』ということになりました。景色は綺麗で、海水の透明度も高いのに、アクセスが悪いこととも相まって、我々のお気に入りのビーチにはなりませんでした。
それでも何回か海に入って泳ぎ、カフェで軽くランチを取り、それなりに楽しい時間を過ごしました。
そして3時過ぎに帰り支度をしました。
帰る方法はどうしようかとあれこれ考えた挙句、カフェのスタッフに教えてもらった、来る時とは別の、少し歩き易くて景色が綺麗だというルートを選んで、徒歩で帰ることにしました。
教えられた帰路の景色は、段々畑の石垣や、点在する民家が綺麗で、写真を撮りながら休み休み歩いたお陰で、「あら、もう着いちゃったの?」というくらい苦労なくデイアの町に着くことが出来ました。
デイアの村からパルマまでの帰り方には、二つの選択肢がありました。
一つは、ソイエールまで戻って、ソイエール鉄道でパルマまで帰る方法。
もう一つは、このままバスでパルマまで帰る方法。
二人の意見は、一も二も無くこのままバスでパルマに帰ることで一致しました。
きれいに清掃が行き届いた公衆トイレを利用したりしてバス停に着くと、バスは時間通りにやってきました。210番のバスです。
このバスは、バルデモッサという可愛らしい村を経由します。
バルデモッサは、ショパンとジョルジュ・サンドが滞在したことで有名で、この村のカルトゥーハ修道院にはショパンが弾いていたピアノが展示されているということです。
良さそうなところなので、パルマ滞在中に、時間と体力と気力があったら、訪ねてみてもいいなと思っています。
という訳で、ソイエール鉄道には乗り損ねてしまいました。
乗らなかったから言う訳ではありませんが、遊園地のようなレトロな列車に乗らなかったからといって、あまり悔いはありません。また、途中のトラムンタナ山脈の景色が良いといわれますが、海沿いの崖っぷちを走る帰りのバスの景色も美しかったし、山中の景色はピコスデオイローパの山越えで、険しく美しい景色を堪能してしまっているので、もう良いかな…と思っています。
久々のトレッキングで、二人ともグッタリ疲れてアパートに戻りました。
それでもチャンと夕食(グリル・ド・チキン)の調理をしました。私は徹底した自炊派なのです。