2018.8.23

ジンとの再会と、魚を貰った話


午後、ソファーでウトウトと昼寝をしていると、窓から外を眺めていた家内が、
「あら? あの人、ジンじゃないかしら?」 と声を上げた。

「えー、どれどれ、本当かー?」と起き上がって外を見下ろすと、遠くの城壁のところに紛れもなくジンの姿があった。

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ジンの姿を発見
した場所


この写真は、去年撮影したジンと私






ジンというのは、我々が「カニおじさん」と呼んでいる2年越しの友人で、彼が獲った蟹を沢山くれたのでそう呼んでいる。

彼は旧市街の路地裏に住んでいるので、その前を通るたびに「ジーン!」と大声で呼んでみるのだが、反応が無く、未だ会えていなかったのだ。

私がアパートの窓から「ジーン!ジーン!」と叫ぶと、彼も気が付いてこっちを振り向いて手を振ってきた。

「そっちに行くから。」と合図をして、スマホとPCを持って彼のところへ行った。
スマホでテザリングをしながら、Google翻訳で会話をしようと考えたのだ。

ところが、彼はパソコンが打てないし、細かい字が見えないのでGoogle翻訳は使えなかった。
次に、スマホの音声翻訳機能を試みてみたが、彼のたどたどしい話し方では上手く翻訳できなかった。

仕方が無いのでジェスチャーで会話をしたが、彼が何を言っているのか全く分からなかった。

それでも彼が「港の方に散歩に行こう。」というので、一緒に歩いて行った。

港では、漁師のオッサン達がグロテスクな魚を捌いていた。

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漁師のオッサンが
捌いていたのは
小さなサメのような

ヒレと頭と内臓を
切り取って、皮を
エイヤッと引っ張って
剥く






ジンは彼らと親しい友人だったらしく、彼も勝手に自分が持っていたナイフで器用に魚を捌き始めた。(何でナイフを持ってんのー?)

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左がジン。



ポケットからナイフを取り出して
魚を捌き始めた。









3尾ほど捌き終わると、ジンはそれをビニール袋に入れて私に差し出した。

「えー、貰っていいの?」と言うと、「構わん、構わん。」という手ぶりをした。

漁師のオッサンはホセという名で、「お前は日本人か。俺は昔日本に行ったことがあるんだぞ。福山、神戸、広島、名古屋、東京、千葉…。 明日の午後また来れば、別の魚をやるよ。」などと言っていた。

ジンと漁師のオッサンに「ムーチョ・グラシアス!」と礼を言って、魚を貰ってアパートに帰った。

晩飯はグリルド・チキンにする積りだったのだが、急遽予定変更。
貰った魚をオーブンで≪グリルド・シャーク≫にすることにした。

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全くインスタ映え
しないが、オーブンで焼き上がった鮫

味付けは、塩・胡椒とハーブのみ







焼きあがった魚を恐る恐る口にしてみると、何と美味なこと!
全く臭みがなく、ホロホロに柔らかい食感で、「うわー、これ美味しいねぇ!」
「ホント!今までに食べたことの無い味と食感ね。」などと言いながら食べた。
軟骨系の背骨があるだけで、肋骨にあたる小骨が全くないのでとても食べやすい。

半分食べたところで、家内が 「例えると寿司屋で出てくる穴子に近いわね。」 というので、「なるほど、それじゃあ煮穴子にしてみようか。」と残りを味醂とだしで煮直してみたら、かなり煮穴子に近いものになった。

こんな魚、魚屋で売っているのを見たことがない。
鮫のことをスペイン語で tiburón(ティブロン)というらしい。

こんど、魚屋のマリアに聞いてみよう。