今日はカズさんも私もお休みで、夕方からカズさんがウチに来ることになっていた。
今日の夕食のリクエストは、ブリの照り焼き。
ハンバーグとかオムライスとか子供が好きな物が好きなんだと思っていたら、意外にもブリ照りも好きらしい。
午前中は掃除したり家の中を片付けて。
カズさんは、家でゲームしてお腹が空いたらフラッと現れる。それが定番。
いつ来るか分からないので、午後からはなるべく家で過ごせるように、午前中のうちに夕飯のお買い物も済ませる。
最近カズさんは忙しかった。今日は久しぶりのオフで、久しぶりにウチに泊まることになっていた。
お仕事も明日は午後からだと言っていたし。久し振りにカズさんとゆっくり過ごせるんだな~とウキウキしていると、
着信がきた。カズさんだ。
『アコ、も行ってい?』
「うんいーよ。」
『じゃ行く。』
で、電話切ってすぐに
ピンポーーン♫
もうこれ、いつもの事。カズさんは電話しながら既に動いているのか、本当にすぐ来る。
「早いね。」
『ん?どっち??』
「どっちも。でもあえて言うなら~、来る時間帯かな。」
『ふふ。なーんかうるさいのよ、腹が。グーグーって。』
「この匂い、届いたのかなぁ?今日ね、シフォンケーキ焼いたの。」
『あー届いた、届いてたわ。だからかー。やけに腹が鳴るのよ。』
「ふふ。コーヒーでいい?」
『おお。』
ふたりでまったり過ごす昼下がりの午後。
『ん、アコ。これ旨いよ。すごいね~こんなん作れちゃうんだもん。尊敬する、まじで。俺は一生無理だね、作れない。』
「ありがとう。良かった、美味しくできてて。けど、そんなに褒めても何も出てこないよ?」
『そりゃそうよ。そんな見返り求めて…なんて、んなわけないじゃない。ま、強いて言うなら、アコちゃんからの愛がたくさんほしいってことくらいっすかね~。
ごちそうさまでした。』
そう言って食器を片付けようとキッチンへ歩いていくカズさんは、キッチンの方を向いたまま鼻歌交じりで
『今夜楽しみぃ~♫』と呟いた。
「///…もぉ!!」
カズさんはクククと肩を震わせて笑いながら、ソファの定位置へと行きゲームの電源を入れた。
こんな他愛もない会話が、こんなに幸せなことだなんて。私はカズさんと出会って初めて知った。
私は本当に幸せだ。
幸せだ。
幸せ過ぎる。
カズさん、私とっても幸せです。
『ん?なんか言った?』
「え⁉︎なにも…」
『そ?』
『……俺もよ、幸せ。』