さて…どうしたものか?
髪の長い女性は気になるが、あまりマジマジと顔を見るのも趣味じゃないし…

だからと言って、タヌキの置物みたいに座っていても仕方ない。

いい頃合いを見計らって帰るか…

3杯目のブラックルシアンを飲み干すところだった。

「次は何を飲むの?」

不意を突かれた俺は、恥ずかしながら少し酒をこぼした。

「あぁ…何にしようか…」

焦っている姿を隠すのが精一杯の俺は、間違いなくテンパっている。

「私は焼酎にしようかな…」

髪の長い女性はそう言いながら、俺の空になったグラスを取り上げた。

「焼酎は飲めます?」

俺は、ヒラメの刺身の次か…いや、それを凌ぐくらいの焼酎好きだ。

「あぁ…好きだな。」

初めて髪の長い女性の顔をじっくりと確認した。

このタイミングだと、女を必死になって探しているとは思われまい。

なんせ俺は格好から入るからな。
まぁ、分かりやすく言うと、恥ずかしいがり屋で格好つけなのだ。

「好きな銘柄を、同時に言おうよ♪」

『せーの!』

『魔王!!』

「凄い♪一緒だね♪♪」

彼女は驚いた顔をしながらはしゃいでいる。

「……笑えるな。簡単に合うものなのか?」

俺はそう言いながら、頭をかいた。

「じゃあ、注文してくるね。あっ!?あそこの席に移らない?
皆、盛り上がって少しうるさいし♪」

小悪魔ぎみに笑う彼女が指を指した所には、白いラブソファーがあった。

「先に行って座ってて♪」

そう言いながらカウンターへと歩き出した。

フゥ…やれやれだ。

俺の意見は無いのか?
と、言いたいところだが、悪い気はしない。

カウンターへと向かう彼女の背中にむけて

「わかった…待ってるぞ。」

言葉少なめに言い放ち、俺も席を立った。

……
………
待ってるぞ。

何を待っている?

酒?

まさか、彼女を?

ふん…馬鹿馬鹿しい!
何を期待しているんだ。
何度も痛い目をみてきただろ…
俺は男前か?
違うだろ…
大人しく酒を待って、1~2杯飲んで帰ればいい。

そう自分に言い聞かせ、ソファーに座り込んだ。

今日、3箱目のタバコを開けながら気付いたのだが…
凄く貧乏揺すりをしてるではないか。

早く彼女と話がしたい!出来れば、口説いて抱きたいんですけど!!

……みたいな感じになっているではないか。

俺は焦って辺りを見渡した。
こんな姿を後輩に見られた日にゃ、明日以降に会うのが怖くなってしまう。

俺は頑張って冷静なフリをしてタバコに火をつけた。