20時45分…

目的地近辺に到着。
予定より早く着いたな。
あとはパーキングを探すだけだが…
間違いなくなさそうだ。
…と言うより、はなから探す気がまったく無い。

顔を出して、すぐに帰る予定だしな…

適当に車を停める所を探し、路地裏へとアクセルを踏み込んだ。

車を停めて、時計を見ると21時4分…

まだ、早いな…

21時の約束だが、遅れて行くくらいがちょうどいい。
もし、時間厳守で行ったら、嫌そうなふりしてるくせに、本当は楽しみにしてますやん!みたいに思われるからな。

俺は、少し恥ずかしがり屋さんなのだ。

まぁ、何も期待していないのも事実だし、俺より4~5歳も年下の後輩たちが根こそぎ持って帰るだろうしな…
誰が好き好んで、こんな無愛想なオッサンに惚れるかよ;
そんな皮肉を頭に浮かべながら、タバコに火をつけた。

その時、車の前を5人の女性が横切った。

俺の鋭い眼がナイトビューモード&望遠仕様に変換された。
ナイトビューモード&望遠仕様と言っても、ただ眼を細めて本気で女性の顔を確認してるだけだが…

……
………
…………

俺は無言で車の肘置きのフタを開けた。
中には、CHANELのアリュールが入っている。
気合いを入れて、perfumeをつけるのはかまわないが、重大なミスに気が付いた。

窓を閉めきった車で、香水を使うと凄く息苦しい。

…いったい何をしてるのだ、俺は?

…いったい何を期待しているのだ?

恋愛?

彼女?

そんな感情は捨てたはずだろ…

そう自分に言い聞かせながら、歩き出した。

ネクタイを絞め直し、店のネオンが見えた時、確かに聴こえた…

『…背負いし者よ

よいのか?

背負いし者よ…

必ず降りかかる…ツミ…と…バつ…』

??

何なんだ?

今の声は?

考える時間もなく、店の前に着いた俺はドアを勢いよく開いた。