恭は車を運転しながら何処から回るか考えていた
(取りあえず 朝早く確認に行った○ビルから先に行ってみるか…)
ふと ガソリンの残量表示が目に入った
(残り少ないなぁ…
何処かスタンドに寄ってから行くかな…)
しばらく走っているとセルフスタンドが目に入り 給油に立ち寄った
財布の現金を確認しながら二千円分を入れる
(もし これでコインロッカーに何も金目の物がなければかなり先行き不安なんだが仕方ない…)
給油を終え 恭は車に乗り込み 改めて○ビルに急いだ
(現在は午前九時過ぎ… 開いてなかった移動せずに駐車場で開くまで待つとするか…
あそこの駐車場は無料みたいだし あまり金を使いたくはない…
こんな事なら
浜田くんたちと部屋でもう少し過ごすんだった
でも あそこに居てもう一人の彼に取材の事を聞かれるのも気が引けたし
はぁ~ 何やってるんだろう?
こうなってみると
僕には心を許して何でも話し合える友達一人いなかったという事だ…
仕事上の付き合いでは何人かいるけど
携帯の番号さえ知らない
付き合って来た女達にしても…
誰がこんな非現実的な話を信じてくれるだろう… )
恭は考えれば考える程
気持ちが滅入ってきた
程なく 目当ての○ビルに到着した
車を降りて入口に行きドアが開かないのを確認すると車に戻ろうとした
「何か用かね…?」
制服を着て制帽を被っている中年の守衛らしき男が近寄って来て恭に聞いた
「あ…の ここ何時から開くんですか…?」
恭が逆に聞いてきたので
「午前十時だよ 用事があって来たのかね…?」
「その… ここのコインロッカーに貴重品を預けっぱなしになってまして… それを取りに来たんです…」
「コインロッカー?
そんな物はなかったと思うが 確かにここなのかね…?」
(えっ…?! そうなのか? では 後 二つのうちのどちらかという事か?)
「す… すみません 場所を間違えたみたいで 他を当たってみます…」
「待ちなさい…
どうも挙動不振だな?
もしかして 盗んだ鍵でコインロッカーを開けようとしていたのか?」
「ちっ… 違います 本当に僕の鍵で…」
後退りし始めた恭の手を守衛は掴むと
「事情を聞かせて貰うよ…」
と言って引っ張って行こうとした
その手を振り切り恭は車に飛び乗った