「先生、ぼくは白いカーネーションなんだけど…」
白い組のひろしくんが言った。


阿部先生はひろしくんだけじゃなく、白い組みんなを見回しながら、ひとりずつ名前を呼んで、
「あなたたちのお母さんもみんな天国であなたたちをいつも見てくれてるんですよ、お母さんにありがとう言いましょうね」
と言った。


「赤いの折っていいの?」
なおちゃんが尋ねると、先生は目一杯ニコニコして、
「お母さんは誰のお母さんもみんなおんなじです!みんなで真っ赤なお花をプレゼントしましょうね」
と言った。



「この先生大好き!」
と、人見知りのわたしは心から思った。



折り紙を折る機会なんて最近まったくないけど、
わたしは今でもちゃんとカーネーションの折り方を覚えている。
みんなして楽しく過ごしたこの図工の時間が、阿部先生の声と笑顔を忘れさせないように。



「お母さん、ありがとう」の思い出。