バラの館というのは、小学校の近くの森にある古い洋館のことだ。
年中窓が閉まっていて、おうちの中も分厚いカーテンで見えないけど、たまに犬の鳴き声が聞こえたりする謎の館。
わたしたちは勝手にバラだと言い張っているけど、実は何の草かわからないくらい庭中がウッソウとしていて、青い匂いでムンムンしている不思議な館。

そして、ふたりの物語の中では、
そこには子どもを呼んではたらふくごちそうして、眠らせて、後で食べちゃう恐ろしい妖怪が住んでいるという設定だった。
そんな怖いところから届いた招待状……勝手にビビるふたりだった。


門の前に立って、スーが気合いを入れた。
「行くよ!」
「うん!」

もともと誰からもお呼ばれされていないのだから、よそさまのお宅の前で何やってんだ、おまえら!という話だけど、
そのうちスーは中に入り込める隙間を探し始めた。

めんどくさがりのわたしが、
「お招きありがとうございますって、おっきな声出してみる?」
と言うと、
「いや、きっと穴はあるよ」
と、スーは自信たっぷりに答えた。


そして、ついに犬が一匹やっと出入りできるくらいの穴を見つけた。

「ほ~らね!」
スーはしてやったりの顔をした。