4日目の夕方、すでに起床して食事もすませた俺は、弓を持ちながら外へ出て、空気を吸っていた。一番好きなのは朝だが、夕方の雰囲気もいがいと悪くない。山へと沈んでいく夕日を眺めていると、後ろから声をかけられた。
と「調子はどう」
すこし驚いた。避難所にいるはずのともさんが、何でここにいるのか。
「あれ、避難所はいいんですか」
と「まだ時間があるからね。それより、どうなの?」
「なんとも言いがたいですね。ターゲットをまだ倒せていないので」
そう言うとともさんは肯いた。それから「あのさ」ともったいぶるような感じで話し始めた。
「なんですか」
と「絶対に自分から死にに行かないでよ」
また同じことを言われた。トータルで3回目だ。
「あちゃみさんと鳥さんからも同じこと言われました」
と「マジで!?ゴメン」
「いえ。でもそれだけ俺ってリスキーな存在なんですか。まあ実際、いろいろやらかしましたケド」
と「それもそうだけどさ、一番はムサシ君に欠けてほしくないってことだよ。わっちだけじゃなくて、みんな誰にも欠けてほしくないって思っているからさ」
こんな言葉をかけてもらえるなんて、7ヶ月前の俺は想像できやしなかっただろう。改めて仲間としていられることが嬉しかった。
だが次の発言が、一気にそれを吹っ飛ばした。
と「特にソーラさんのためにも、ね」
ともさんのその一言は、まるで不意に後ろから棒で叩かれるように、耳に聞こえた。
「…知ってたんですか」
と「いろいろな経緯でね」
真っ先にあちゃみさんの顔が浮かんだ。確証はないけれど、あの人ならやりかねない。顔が少し赤くなったが、夕日でたぶん見えないだろう。
と「けっこう普通に話はしているみたいだけど、ぶっちゃけどう思ってるの」
「恋人のようにはみていないです」
と「あ、やっぱりそうなんだ」
納得したようにともさんは言った。俺はすこし呼吸をしてから、本心を語った。
「でも、「好きだ」と言ってくれたことは、ものすごく嬉しかったです。誰かから愛されていることが、こんなに素晴らしいことなんて知りませんでした」
ともさんは実の親のように何度も肯いた。
「恋人としてみることはできなくても、それとはまた別の感情があります。仲間はもちろんですが、ソーラさんはとても大切な人です」
と「そこまで成長していたとはね」
「今度は親戚のパクリですか(笑)」
と「またバレたww。やっぱりムサシ君がいてくれてよかったよ」
オレンジ色に照らされながら、二人で笑いあった。ともさんは再び監視の任につくため、避難所へと戻った。
西に沈む太陽は、先ほどまで光を浴びせていた大地に、闇をもたらそうとしていた。