おかしい。
とっくにズタズタにされているはずなのに、なにもされていない。まだ俺は生きている。
目をあけて周囲を見回した。モンスターの壁はそばまで迫っていたが、なぜか動きを止めて固まっている。いや、固められている、といったほうが正確だろうか。そんな感じを受けた。ウィッチがまた何かしかけたのか、そう思い視線を動かした。
だがそこにいたのはヤツではなかった。両足の裏をこっちに向けて、人の体―おそらくウィッチ―が倒れていた。そしてその上には、オレンジ色に照らされた獣が乗っかり、しきりに噛み付いていた。
そしてもう済んだのか、突然獣は顔を上げ、こちらへ視線を移した。
それは狼だった。ところどころ黒く汚れているが、立派な狼だ。
ヤツは向き直ると立ち上がり、空へ向かって強く、大きく、どこまでも響くように遠吠えをした。それはまるで、勝利を叫ぶようでもあり、また離れた仲間へのメッセージを伝えるようでもあった。
同時に気付いた。かすかだがモンスター達がうろたえていたのだ。ここから逃げ出そうとしているようだったが、他の個体に邪魔されて、思うように動けないらしい。
遠くからは、狼の吠える声があちこちから聞こえ、猛スピードで近づいていた。高速で移動する 軍団―いや群れだ。
次の瞬間、囲っていた厚い壁が縦に大きく裂けたかと思ったら、その間から次々と狼達が飛び出てきた。彼らは逃げ惑うゾンビやスケルトンに襲い掛かり、体を引き裂いていった。すばしっこいスパイダーさえも牙の餌食となった。その有様を見て、さらにヤツらは混乱したが、また1体、さらにまた1体と数を減らされた。裂け目は増えて大きくなり、新たな狼達を招き寄せた。
俺は混乱の真っ只中で、唖然となりながら、ただひざまずいてその光景を見ていた。
気のせいだと勘違いしそうなほど、あっという間に終わった。
あちこちにはモンスターの亡骸が散乱し、1体もピクリとも動かなかった。その中には爆死しないで残ったクリーパーも混じっていた。そして俺は矢が刺さったままで、特に傷を受けてはいなかった。火災はさっきよりも勢いが弱まっていた。
まるで思考がおよばない世界にいれられた気分だった。当然頭では理解できそうもない。だが、まだ生きていることだけは、否定できなかった。痛みを再び感じたからだ。俺は無意識にゆっくりと手を動かし、腹に刺さった矢を抜こうとしたが、すぐにやめた。ここで抜いてしまったら、出血を止める手段がないからかえって危険になると、ぎりぎりで思い立った。頭もようやく元に戻り始めたようだった。
とっくにズタズタにされているはずなのに、なにもされていない。まだ俺は生きている。
目をあけて周囲を見回した。モンスターの壁はそばまで迫っていたが、なぜか動きを止めて固まっている。いや、固められている、といったほうが正確だろうか。そんな感じを受けた。ウィッチがまた何かしかけたのか、そう思い視線を動かした。
だがそこにいたのはヤツではなかった。両足の裏をこっちに向けて、人の体―おそらくウィッチ―が倒れていた。そしてその上には、オレンジ色に照らされた獣が乗っかり、しきりに噛み付いていた。
そしてもう済んだのか、突然獣は顔を上げ、こちらへ視線を移した。
それは狼だった。ところどころ黒く汚れているが、立派な狼だ。
ヤツは向き直ると立ち上がり、空へ向かって強く、大きく、どこまでも響くように遠吠えをした。それはまるで、勝利を叫ぶようでもあり、また離れた仲間へのメッセージを伝えるようでもあった。
同時に気付いた。かすかだがモンスター達がうろたえていたのだ。ここから逃げ出そうとしているようだったが、他の個体に邪魔されて、思うように動けないらしい。
遠くからは、狼の吠える声があちこちから聞こえ、猛スピードで近づいていた。高速で移動する 軍団―いや群れだ。
次の瞬間、囲っていた厚い壁が縦に大きく裂けたかと思ったら、その間から次々と狼達が飛び出てきた。彼らは逃げ惑うゾンビやスケルトンに襲い掛かり、体を引き裂いていった。すばしっこいスパイダーさえも牙の餌食となった。その有様を見て、さらにヤツらは混乱したが、また1体、さらにまた1体と数を減らされた。裂け目は増えて大きくなり、新たな狼達を招き寄せた。
俺は混乱の真っ只中で、唖然となりながら、ただひざまずいてその光景を見ていた。
気のせいだと勘違いしそうなほど、あっという間に終わった。
あちこちにはモンスターの亡骸が散乱し、1体もピクリとも動かなかった。その中には爆死しないで残ったクリーパーも混じっていた。そして俺は矢が刺さったままで、特に傷を受けてはいなかった。火災はさっきよりも勢いが弱まっていた。
まるで思考がおよばない世界にいれられた気分だった。当然頭では理解できそうもない。だが、まだ生きていることだけは、否定できなかった。痛みを再び感じたからだ。俺は無意識にゆっくりと手を動かし、腹に刺さった矢を抜こうとしたが、すぐにやめた。ここで抜いてしまったら、出血を止める手段がないからかえって危険になると、ぎりぎりで思い立った。頭もようやく元に戻り始めたようだった。