母が出て来る詩 3 乳母車 三好達治母よーー淡くかなしきもののふるなり紫陽花いろのもののふるなりはてしなき並樹のかげをそうそうと風のふくなり時はたそがれ母よ 私の乳母車を押せ泣きぬれる夕陽にむかって躙々と私の乳母車を押せ赤い総ある天鵞絨の帽子をつめたき額にかむらせよ旅いそぐ鳥の列にも季節は空を渡るなり淡くかなしきもののふる紫陽花いろのもののふる道母よ 私は知つているこの道は遠くはてしない道 (詩集「測量船」より)