羊の出て来る詩−4(石原吉郎 ) 予感 石原吉郎まこと この眼窩のなかには秋が抗議のない季節がしかと住んでおり僕はしばらくもそれから眼をはなすことはできないこの眼窩の背後のあらわな頭蓋の空洞をはるかにこえて羊群と行きかう雲の声もない風景と季節のめぐりかわりはあるがしかし ここにえぐられてしかとある季節には永遠に変りはないやがて 僕は眼をそらすであろうそのとき ぼくの眼のなかへまっさきに何がなだれて来るか凝視することのゆえにますます孤独なその視界のなかへ ( 初期未刊詩篇から )