海の出て来る詩−3(竹中郁) ボクの反射 竹中郁鏡の中へ私は這入つてゆけない。私は断わられる。鏡の中の私のカラア、私のネクタイ、私のカフス扣鈕(ボタン)などが散らばつている。くづれ落ちた私を拾ひ集めようとして、手を差し伸べる。私の手をつかまへて、私でない私が、「おまへとともに居たくはない。おまへはその儘(まま)でいるがいいんだ。」と命令するやうに叫ぶ。私は崩折れる。白い灰のやうに。光を前にして。 (詩集「象牙海岸」より)