
造花 永山幸路(和歌山市西和中学2年)
本町のおみせやに売っていた可愛い造花
私が病気になった時に
お母さんがよく買って来てくれました
いつか梅のつぼみがたくさんついた
一枝の小さな花を
かぜひきの私のまくらもとへ
もって来てくれました
私はその梅のつぼみがたいへん好きでした
毎日 毎日 その花をながめて
たいくつな日をすごしたものです
お母さんが梅の造花を買って来てくださってから
ひと月ばかりたつと
病気もすっかりなおつて
日ましに暖かい太陽が窓の近くへ寄って来るようです
私は小春日和のえんがわで
梅の造花をじっと見ていましたが
いきなりそのつぼみの一つ一つを
手に持ってひらいてみました
つぼみの中はがらんどうで何もありません
それを見て私は大声をあげて泣きじやくりました
私はちいさい時にこんな事があった事が
なつかしくてふと書いてみたくなります
そして今 本当に梅のつぼみをみると
すぐそのころのことを遠く思い出すのです
1948年の中学2年生の詩で、1953年に発行された「砂丘作品集」(和歌山市立西和中学校発行)に掲載の作品。
元々は筑摩書房の「中学生全集」の中のNo.69「中学生詩集」で知った玉川岳雄さん(西和中3)の詩が載っているので「砂丘詩集」も買いました。「中学生詩集」は中学校の図書室にありました。この全集は学校など施設の図書室にしかなくて、入手は諦めていましたが、古くなった蔵書が廃棄されたタイミングで夫がネット古書店で見つけてくれました。

