季節の夜 左川ちか

青葉若葉を積んだ軽便鉄道の
終列車が走る
季節の裏通りのやうにひつそりぢてゐる
落葉松の林を抜けてキヤベツ畑へ
蝸牛(カタツムリ)のやうに這つてゆく
用のないものは早く降りて呉れ給へ
山の奥の染色工場まで六哩
暗夜の道をぬらりと光つて
樹液がしたたる

 (川崎賢子編「左川ちか詩集」より)