夜  村野四郎

僕が対(むか)える物質
彼らには響(ひびき)がなく 血液がない
僕は彼らの中に生じた
響があり 血液があり 花を持ち
花とともに年齢の中にしずむ

パジャマの中で肉体は溶けようとする
うすれゆく影
これを受けとめようとして拡がるてのひら 寝台

電気の光の中に叫びをきいた
言葉でない 喚(わめ)きでもない 一つのこえ

顔を蔽(おお)えば
衰頽(すいたい)の重量が手の中にある

 (「体操詩集」より)」