花  北園克衛

雨の音とともに
黄梅が匂つてきた

風さへつのり
夜がふけていつた

ひとり
詩集をひらき

友の詩を
すこし読み

菫さく野をおもひ
遠い山河をおもつた

そして疲れ
おもひも尽きた

暗い部屋にゆき
風のやうに眠つた

 (詩集「風土」より)