キチン質 北園克衛

一本のフラスコのなか
の青い砂について

ぼくはその朝
郵便でとどいた雑誌を読んだ

四角な水
のなかの古典的な風景とともに

生命の影さえない
完全な荒廃の世界である

ガラスの形をした
細ながい午後

すくなくとも五人は
その人さわがせな岩を見ていた

 (詩集「白の断片」より)