真昼の休息  伊東静雄

木柵の蔭に眠れる
牧人は深き休息(やすらい)
太陽の追ふにまかせて
群畜(けもの)らかの遠き泉に就きぬ
われもまたかくて坐れり
二番花乏しく咲ける窓辺に

土(ち)の呼吸(いき)に徐々に後れつ
牧人はねむり覚まし
己(わ)が太陽とけものに出会ふ
約束の道へ去りぬ......
二番花乏しく咲ける窓辺に
われはなほかくて坐れり

 (詩集「わがひとに与ふる哀歌」より)