雪の日 左川ちか

毎日蝶が飛んでゐる。
窓硝子の花模様をかきむしつては
あなたの胸の上にひろがる
パラソルへあつまつてゆく。
すぎ去る時に白くうつつて
追ひかけても 追ひかけても
遠い道である。


 (「左川ちか全集」より 1932年の詩)