リーフ幻想 丸山 薫

詩の底ふかく
沈んでいるイメエジのように
潮に透けて浮き上ってくる
白亜の珊瑚樹林
くまなく太陽がさしこむその梢を
鮫の子が一匹 ゆらぎ泳いでいる
いや あれは短長靴(たんちょうか)
もはや 影のように 藻のように
溶けかかった飛行靴だ

 (詩集「連れ去られた海」から)