橋  石原吉郎

沈黙は詩へわたす
橋のながさだ
そののちしばらくの
あゆみがある
それはとどまる
ふりかえる距離が
ふたつの端を
かさねあわせた
夜目にもあやな
跳ね橋の重さなのだ

 (詩集「水準原点」より)