海風  丸山薫

遠くの沖からうねりがやってきた

それは渚(なぎさ)によせて ついに崩れた

と そこに誰かが立つた

それは砂を上つてきた

彼には形がない

ただ 泡の瞳だけをしていた

そして まっすぐに

芒(すすき)の光る丘へ去つた

   

    (「物象詩集」より )