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駱駝(らくだ) 川路柳虹
おまへの瞳のなかには
かぎりない沙漠の海、
そのはてに落ちる血紅(けっこう)色の入日と
そのはてに見出す椰子の葉かげの
緑のオアシスとがうつってゐよう。
おまへの瞳の柔和は
その夢を私に感じさせる。
だがこゝの柵は何だ、
こゝの土は何だ、
しかも平気な顔をして
子供の投げるパンを食べてゐる。
おまへの郷愁(ノスタルジア)は
おまへの体の奥に匿れたのか、
女面獅子(スフアンクス)像と三角塔(ピラミード)の
あの偉大な郷国の夢をば
人々がおまへから奪ひ取った為めか。
(第6詩集「歩む人」より)
川路柳虹のことを調べてみると、父親が有名人で川路寛堂というそうです。幕末から昭和の旗本、大蔵省官僚とあります。さらに寛堂の祖父の方が有名だったようで、川路聖謨(としあきら)は日本の武士(旗本)とあります。
旗本といってもピンと来ませんが、豊後日田代官所の役人の息子に生まれ、御家人出身ながら勘定吟味役から始まり勘定奉行などの要職を歴任したそうです。川路柳虹と検索すると川路聖謨の曽孫とさえ出て来てびっくりです。
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