探していた本が偶然見つかったので、引用します。人の死も子供の誕生も、ともにケガレとされ、それは周りの人間関係のバランスを崩すから、という内容で、網野善彦「歴史を考えるヒント」で読んだものでした。

ーケガレとは、自然と人間社会との均衡が、人間の意思を超越した力によって崩れた時に起こる事態に関わる観念と言ってよいと思います。こうしたケガレに対する感覚は人類に共通していると思いますが、最も基本的なのが人の死と子供の誕生に関するケガレです。
ー一人の人が死ぬと、周辺の社会には不均衡が生じます。これが「死穢」、死による穢れの発生です。それが平常に回復するまでに一定の時間を要するわけで、その期間が、忌み籠もりをしなくてはならないケガレの期間です。一方、子供の誕生は、おめでたいことでもあるのですが、やはり新しい人間が生まれると、周囲が落ち着いた平常の状況にもどるまでに時間が若干かかります。その期間が「産穢」と呼ばれ、ケガレの状態と考えられてきました。
 (VII 被差別民の呼称 ケガレにどう対処するかーより)

どうして、こんなことを思い出したかと言えば、昨年我が家で、母の死と孫の誕生の両方があり、疲れ果て、年老いた気がするからです。( ´艸`)