問題特集
デビュー以来4ヶ月で、茶の間をすっかり席巻したフィンガー5 。
彼らが所属する事務所と地方興行師との間に、ある騒動が起こった。
迷惑するのは、興行を待ちわびている人たちなのだがーー。
人気急上昇のフィンガー5の公演をめぐっていま金銭騒動!
すでに切符が売られている1月27日、新潟県下公演は中止か
昨年8月25日、『個人授業』でデビューしたフィンガー5は、たちまち人気者にのしあがった。
5人兄妹がかもし出すほほえましいチームワークが、核家族時代の家庭のハートをとらえたのかもしれない。
『個人授業』はすでに130万枚に手が届く売れ行き。12月10日に発売された『恋のダイヤル6700』も、3週目でレコードの売れ行きのトップに躍進、現在50万枚を突破する勢いである。
フィンガー5の長男・一夫(18歳)は堀越学園高等部の3年生、以下、2男・光男(16歳)大成高校2年、3男・正男(14歳)東村山第二中学3年、4男・晃(12歳)と長女・妙子(11歳)が久米川小学校の6年と5年生。兄妹5人ぜんぶが学校に通っている。
そのために、平日の仕事はすべて午後4時から。
これは、テレビ、ラジオの出演や雑誌の取材に費やされる。
そして、日曜、祭日だけ地方での興行の仕事をする。これも、彼らのめざましい人気を反映して、いま、6月いっぱいまでスケジュールが埋まっているという。
だが、順風満帆のフィンガー5に、ひとつの難問がもちあがった。
彼らが所属する市橋プロモーションの社長・市橋健司氏が、契約にまつわる金銭的なもつれから、ある地方興行師に訴えられようとしているのだ。
訴えるというのは、富山市の日芸プロ・青柳秀隆社長(27歳)。
青柳さんのいい分はこうだ。
「1月27日に、新潟県の上越市と長岡市でフィンガー5のショーを企画し、もう前売り券も売っているのに、市橋社長はこの仕事をキャンセルした。そのために、私は50万円以上の損害をこうむったし、信用も落としてたいへんに困っています」
青柳さんとフィンガー5の事務所は、去年の10月に、12月16日と1月13日、27日の3日間の興行についての話し合いをした。
ただし、12月16日分は契約書を取りかわしたが、あとの2回については口約束だったという。
「12月16日に関しては、富山市と金沢市でサイン会とショーをやりました。ところが、1月13日のショーは、直前になって出演できないといってきたんです。それで私は11日に上京して、市橋社長と話し合いました。12日も会いました。そのとき突然30万円ギャラアップしろといわれたんです。それだけでなく、迷惑をかけられたから、みんながいる事務所の中で”土下座して謝れ”といわれました…」
手違いだらけだった富山公演
フィンガー5の地方興行での日建てギャラは、現在、日に日に上がっているので、はっきりとはわからない。
だが、青柳さんのいい分が事実だとすれば、市橋プロモーション側では、去年の10月に決めたギャラを、一方的に30万円アップしたことになる。
青柳さんは「1曲や2曲ヒットが出たというだけで、こんな無暴なことをやっていいものでしょうか」といった。
青柳さんから依頼を受けた林晃司弁護士(富山市八人町)はこういう。
「近いうちに民事の訴訟を起こします。いま慎重に、青柳さんがこうむった損害額を検討しているところなんです。青柳さんが市橋社長から受けた侮辱については、名誉毀損か侮辱罪の刑事訴訟も考えています」
さて、名ざしで訴えるといわれた市橋健司社長は、青柳さんのいい分のひとつひとつに、ていねいに反論した。
じつはこの市橋社長、コメディアンとしてテレビなどで活躍した世志凡太その人である。
フィンガー5をここまで人気者に仕立てた育ての親が、世志凡太だったいうのは、あまり知られていないが、それはさておき、「誤解のないように、最初にはっきりいっておきます。1月27日に関しては、こちらからキャンセルしたのではありません。青柳さんが、契約上での約束をぜんぜん履行してくれませんので、自然そういうかたちになってしまったわけです」
12月16日のショーのとき、行き帰りの列車の切符のことや、カラオケ(伴奏を入れたテープ)をかける機械のことで、かなりの手違いがあり、フィンガー5がつらい思いをさせられた。そのうえ、このときのギャラの残金が、なかなか支払われなかったという。
「だから私は去年のうちに、1月13日については、公演前に全額払ってくれなければ、富山へ行かないといったのです。
それが、内金が20万はいっただけで、青柳さんが上京した11日にも12日にも、残金を持ってこないという状態だったんです」
争いの渦中でフィンガー5は
12日の深夜、市橋社長は、フィンガー5の5人に、富山へ行くかどうか相談した。
このとき長男の一夫が、
「12月のことを考えると行きたくないけど、ぼくたちを待ってくれているファンに申し訳ないから行きます」
といったという。
「だから私は青柳さんに、”あなたがいいかげんなことをしても、この子たちはファンのために富山へ行くという。この子たちに”土下座して謝りなさい”といったんですよ。30万円ギャラアップということもいいました。しかしこれは、誠意のない青柳さんに対して私がいっても当然ではないでしょうか。じっさい、1円もアップしてないのですから」
13日のギャラは、市橋さんの富山の知人のおかげて全額支払われたが、27日の分については、17日現在、まだ1円の前金もはいっていないという。
「契約というのは、前金が支払われたときにするものです。それを、ぜんぜん払いもしないで、すでに切符を売っているということのほうがおかしいんじゃないですか」
そして市橋さんは、「はっきりいえることは、青柳さんという人は、興行のことをあまりご存知ないのではないでしょうか」といった。
両者のいい分は、真っ向から食い違う。
その是非はともかくとして、この争いの渦中に置かれたフィンガー5は、問題をどう見ているのだろう。
長男の一夫がこういった。
「ぼくたちは12月の富山と金沢のショーで、いろんないやな思いをしました。それでも1月13日に出かけたのはファンが大切だからです。27日の新潟の公演には、まだ行くかどうか結論が出ていませんが、ファンを裏切るようなことだけは、ぜったいにしたくないんです」
市橋社長も次のようにいう。
「青柳さんをよく知らないで興行を引き受けたヨミの甘さを反省しています。改めて放送局か新聞社と組んで自主公演を行い、ファンにお詫びしたい」
このトラブルの一日も早い解決が望まれるところだ。
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お久しぶりです。
週刊誌の記事を書きました。
誤字ありましたら教えてくれるとありがたいです。
更新のない中でもコメントをくださった方ありがとうございます。