屋上からもどって勉強していると中川先生が来てくれた。



「おう、やってますね?

質問ありますか?」


「ある」


「どこ?」




こうやって最近は朝この部屋にいると来て勉強を見てくれていた。



「だいぶ大丈夫になってきたよな?」


「そんなことないよ~。

なんか今回も自信ない。

あと1週間欲しいな」


「どんだけやったってそう思うよ」


「そうかな~。

あぁぁぁぁ!落ちたらどうしよう!?」


「落ちても死にません!!」


「ぷっっ!

そりゃそうですけども」


「でしょ?」




優しいなぁ~。



「あ、悪いけど当日の明日は一日中自分のクラスについてなきゃいけないんだ…」



前回の検定を見てるから自分のクラスにずっといなきゃいけない大変さは分かってるからそれは覚悟してた。



「わかってますよ~松本先生のところに聞きに行くんで大丈夫ですよ。」


「悪い。ここは使って大丈夫だから」


「ありがとうございます」




しばらくすると、女の先輩が同じ教室で勉強を始めました。


あぁこの人も受験するんだ~。

きっと昔中川先生のクラスだったんだろうなぁ~。



なんて思っていました。





「あ、おまえちゃんとやってきた?」


「やってきましたけどー

多分今回もダメっすよ。

てか、時間無いよ」


「何言ってるんですか?

まだ1日あるのに諦めるんですか?」


「いや、そういうわけじゃないけどー」




私には落ちても死にませんだったのにw


私は受からなさそうだから、すでに慰めちゃったのかwww






中川先生は授業の始まる時間になると自分のクラスに帰って行った。

私は今日は授業は無く午後に1つ検定があるだけだった。






その検定まで私はずっとこの教室にいた。


たまに中川先生が来てくれた。





「ちょっとあと10分くらいしたらこっちの教室に来て」


中川先生がそう言いに来た。


先「なにすんの?」


先輩が聞いた。


「応援VTRね。いつものやつ」


先「あぁー」



うちの学校はこの検定に限り毎回応援VTRを作っているらしい。

全部松本先生が作っているんだけどね。笑





10分たつと中川先生が来た。



「早く来いよ」


先「え、もうそんな時間?」


「早く早く

…たーなーかー!」


「えぇ!?私も行くの!?」


「当たり前!」





そう言われて先生についていくと、その教室にはスクリーンが出ていて。


VTRがはじまるところだった。




先輩と2人で一番後ろの席に座った。


その教室には私と同じ学年の人たちがたくさんいた。







そのVTRを見終わると中川先生が激励の言葉を言ってその応援の会(?)は終わった。


中川先生が手招きをして私たちを教室から出して、またもとの教室に戻してくれた。



「じゃぁまた頑張って勉強しててね」


「はい」





検定前日は先生も忙しいらしい。


当たり前か。

自分の生徒が何十人もいるんだから忙しくない方がおかしいですよね。

検定前日、私は中川先生の教室にいた。

それも朝早く。


その頃中川先生にべったりで、中川先生が教えてくれる時はずっとそこにいました。

やっぱり最後まで残って、2人きりになるのも狙っていました。笑






その日、なんか今日は落ち着かないなぁ。なんて一回屋上でタバコを吸う事にしました。




5階の教室からは屋上は遠いのでエレベーターで。



この時間に生徒なんていないので、エレベーターもすぐに来ます。


でも、その時はなかなかこないなぁーなんて思いました。




少ししてエレベーターのランプが光り、ドアが開きました。



こんな時間に人なんていないと思っていたので、操作盤の前にまっすぐ行こうとしたら、人が乗っていて異常なほど驚きました。



ヒールを履いていたんですけど、異常なほどカツカツ鳴りましたもん。笑




「っは!」


「どういう驚き方してるんですか」



中に乗っていたのは、松本先生でした。


「びっくりっしたー

誰もいないと思ってたから!」


「それにしても早いですね?

しかもなぜ5階に?」


「あぁ~自分の教室開いてないんで」


「5階は開いてるの?」


「中川先生が開けといてくれたの」


「あぁ~中川先生ね~」




しばらくの沈黙。

あ、松本先生私がタバコ吸ってるって知らないや。


どんな反応するんだろう?




「教室開いてないのに上でいいの?」


「…はい」




そのまま私と松本先生は屋上に向かった。


「屋上行くの?」


「…はい」





屋上に着くと他の先生がもう一人いました。


「おはようございます」


「おはようございます」


「おはようございます」




屋上に進んでいく先生に背を向けて入口付近で火をつけた。




なんとなく視線は感じていました。笑


松本先生の「え?」みたいな声も聞こえてました。





でも、そこにいた他の先生が松本先生に検定について質問して世間話をしていたので、特に私には何も言ってきませんでした。




「じゃお先に」


と、言って最初からいた先生がいなくなると2人きりになった。



きまず…。




「田中さ~ん」


「はい…」


「いつから吸ってるんすか?」


「…さぁ?」


「さぁって」


「…」


「…」




見つかってしまったものはしょうがない。

てか、屋上で先生たちに会うために吸い始めちゃったんだから会わないと無駄に私の灰が汚くなるだけだから!笑




先に吸い終えて「じゃ」って言って私は屋上を降りた。


でもすぐに松本先生も来た。



なんだか今日は気まずい日だな。




「今日来ますか?」


「今日は検定が1個あるからそれが終わったら行きます…」


「そうですか。頑張ってください」




そのころ私は3個の検定を掛け持ちしながら勉強をしていました。


今思っても頑張ってたなと、自分で思いますよ。笑

次の日、私は一緒に受ける男の子と女の子一人ずつに声をかけて午後は教室にいるようにお願いした。






午前の授業が終わり、お昼を食べてろうかを歩いていると松本先生に会った。


「この後教室でいいんだよね?」


「そうっす」


「教室別な級のこもいるんだよね~」


「そうなんすか?俺の教室使うかー」


「移動したほうがいい?」


「いや、とりあえず教室にいて」


「はい」




お昼休みが終わる頃、女の子一人が行方不明になっていた。

まぁ10分もしたら帰ってくるかなぁ~なんて思っていた。




しばらくすると、廊下に松本先生が見えた。


すると私の教室の前にある別な教室を指差し、手招きをしていました。




私は道具を持ってその教室に行きました。


「こっち使ってないみたいだからここでしよう」

「はーい。

先生~自分の授業はいいの?」


「ん?無しにしちゃったw」


「え!?」


「ま、間に合うんだからいいんだよ」


「へ、へぇー」



教えてもらう側なのでなんともいえません!!笑




「他の子は?」


「O君は多分の屋上、もう一人は…お昼から行方不明…?」


「なんすか行方不明って。

ま、とりあえずOが来たら始めましょう」


「じゃぁ呼んでくるわー」


「そう?別にいいけどね」




いや、マンツーマンはさすがに申し訳なさすぎる!


別に私は嬉しいから誰もこなくてm(ry





「Oく~ん松本先生来てるよー」


「マジ?今行くわ」



そう言ってO君はタバコを捨ててきた。




O「すいません」


「いえいえ」


「Aちゃん来ないなぁ」


O「どこ行ったん?」


「わかんない。

電話してみる」


「いないならいないで、いいんですよ~別に~」





こうやって優しい言い方をしてるけど、実際は

「(やる気がないなら)いいんですよ、別に!」

っていう意味を言ってるように思う。笑





この何カ月かで松本先生の裏と表をいっぱい見れた。笑


裏が完璧に悪い人というわけでなく、誰かのために悪人になってるふりをしているんだという事も分かった。




今は私たちの時間がもったいないってことだと思う。

もしお願いされればあとでちゃんと教えてくれるはず。

松本先生ならね。





「ダメだ、でない」


「じゃぁとりあえず始めましょうか」


「はい」




授業が始まった。

こんなちゃんと席について、先生が授業をしているのをマジマジと見るのは中々久しぶりで嬉しかった。




「先生が中川先生の範囲教えてるのなんか新鮮」


「そうっすか?

俺もともとこっちの担当だったはずなんだけどな~」


「あぁ時間割の問題で交換したんだっけ?」


「そうっす。俺がこっち教えて、中川先生がもう一個の教えてくれてたら合格者増えてたかもな~」


「私も受かってたかも?笑」


「かも。笑」





そんな話をしながら授業を進めていくと私のケータイが鳴った。

分かるようにマナーを解除していたので、思いっきり着メロが流れた。



「ぶふぉっ!!アンパンマン!」



私のケータイの着メロはその時アンパンマンマーチでそれが教室に鳴り響いた。


「かわいいでしょ!

あ、Aちゃんだ!!ちょっと先生たんま!」


「はいはい」



授業中に電話にでる生徒も許す先生のどうかと…。笑


しかも私がAちゃんと話している間松本先生はアンパンマンを歌っていました。




A『もしもし華?どうした?』


「もう松本先生の授業始ってるよー」


A『え!?電話してて大丈夫なん?』


「うん。ちょっと待ってもらってる」


A『そうなの!?すぐ行くわ!』


「うん。向かいの教室ね」


A『OK!』



そういうと電話を切った。



「今から来るそうです」


「そんなに焦らなくてもいいのに」





しばらくするとAちゃんがそーっと入ってきた。


「あ、きたきた」



「すいません、松本先生」



Aちゃんの後ろから担任の先生も入ってきた。


「うちの生徒たちが…」


「いえ」


「じゃあお願いします」




そういうと私たちの担任の先生は帰って行った。



「なんで先生と来たのー?」


A「いや、教室行ったらいたんだよ。

んで、どうしました?って聞かれたから話したら着いてきたんだもん」


「おーいー」


A「ごーめーんー」



誰も担任の先生が好きではなかったんですよ。笑

ま、松本先生も例外ではなく。




「じゃぁ再開しますね」


A「お願いします」


「はい、ちょっと前のは田中に聞いてね?

はい、では~」






実際、私とO君は松本先生の生徒だったから責任を感じてるのかもしれないけど、Aちゃんは別なクラスだったんだからその先生に聞けよって思ってたかもしれないです。



ま、性格はブラックですから。笑




全部授業が終わって、休憩に入った。



先生とO君は屋上。

Aちゃんは教室の友達のところに行きました。



私は一旦教室からでて、すぐに戻り復習でプリントをやってみていました。



すると、すぐに松本先生が戻ってきました。


「どうですか?思い出しましたか?」


「多分」


「多分ねぇー」


「あ、ここわかんない」


「どれどれ?」




結局いつも私が松本先生を独占してたんだなー。笑




「わざわざ先生の授業つぶしてまでありがとうございました」


「いえいえ、お気にせず」


「優しいね」


「優しくねぇよ」




ほんとこんな人に出会ったのは初めてだったなぁ。


平日のある日、私の学科は休講でした。。


しかし、担任の先生に言って教室を使わせてもらいました。



家ではなかなか集中して勉強できないので、休みでも学校で勉強していました。


休講といっても、中川先生や松本先生は平日なので学校にいますしね。




いつもの時間に登校すると別な級を受ける同じクラスの人がいました。



「あれ?勉強?」


「そうそう」


「そうなんだ~がんばるね」


「そっちの方がでしょw」


「いやいや」






まるまる一日や勉強できるということで、中川先生から5回分の答練をもらっていました。


ま、一日で5回もやって見直しなんてできないんですけどね。笑



しばらくいつもの廊下が見える席で問題を解いていると、松本先生が見えました。



手を振ってみると、近づいてきました。


「今何の時間?」


「今日休みなの」


「え?授業ないの?」


「うん」


「なんだーじゃあ今日ウチの教室で授業したのに」


「そうなの?」


「知ってれば呼んだのにな…」


「まぁ私一人しか来てないし」


「うーん。

田中○○の範囲自信ある?」


「…え?」


「その顔忘れてたって感じだろう?」


「何のこと言ってるかも良く分からん」


「そうだろ。笑

うーん明日午後授業ある?」


「ないよー」


「ここにいる?」


「いるいる」


「じゃ、明日ここかりて授業しようかな」


「え!?してくれるの?」


「ま、俺午後授業入ってるからちょっとだけな」


「午後あるの!?大丈夫?」


「何とかなるでしょう」


「えー!?」


「じゃあ明日の午後くるから~

他の人たちに言っておいてな」






そういって松本先生はいなくなった。



本当に生徒想いな人だな。


そして、自分の授業いいのか?笑






ん?



今松本先生が言った範囲って中川先生の担当の範囲じゃね?





まさか、この間松本先生の範囲を中川先生に聞いた仕返し(?)か…?笑

直前ころ、私は月水金は中川先生の教室に問題をもらいにいき、他の曜日は松本先生の教室に問題もらいに行くようになっていました。




一緒に勉強してくれる人がいるときは中川先生のつかっている5階で勉強していました。


それでもやっぱり一番遅くまで残っているのは私。




中川先生に余裕のあった放課後のある日。


私は答案練習をやっていました。

丸付けも終えてみると意外と80点。

合格点数です。





「田中終わったん?何点?」


「いや…80点」


「おう!!そりゃすごいな!

合格合格」


「そうだけど~」


「なんだよ」


「これ簡単な問題でしょう?」


「んー?」


「だって6月にやってた頃の方が難しかったよ」


「いや…それは!田中に力がついたってことじゃないか!?」


「絶対嘘!」


「そんな事ねぇよー」





前回は自分の生徒だったから、ちゃんと高いハードルを用意して頑張らせてたけど、今回は自分が授業をしているわけじゃないし落ちても自分の責任じゃない。

だから甘くしても大丈夫だろう。

質問が多くても面倒くさいし。



なんて思われてるんじゃないかって疑心暗鬼でした。





何か褒められてもいつもウジウジ言っていました。

自分で言うのもなんですが面倒くさい生徒でした。笑

検定の2週間前になると私は前回と同じように8時や9時まで残るようになっていました。


そうじゃないと不安だったんでしょうね。




そんな私を心配してくれてか、2人の先生が交互に見に来てくれていました。



「分からないことは?」


「だいぶあります」


「じゃぁ来なさいよー」


「だってどこにいるか知らんもん」


「教室か教務室!」


「いきづらー」


「そういう問題じゃないでしょうが」


「はーい…」


「月水金は5階に来な!」


「えぇー」


「えぇーじゃない!

そっちの方が聞きやすいでしょうが」


「そうかなー」


「そうです」





そうは言われても知らない人がいっぱいのところなんて行きたくなかったので、私は自分の教室でずっと勉強していました。


そして、廊下を歩いている先生を捕まえては質問していました。



「中川先生ー!」


「はーい」


「質も~ん」


「ちょっと待ってな」




中川先生はいつも優しくかまってくれました。


担任の先生なんてしばらく質問をしなくなったら来なくなりましたから。

まぁ~担任からもらった問題やらないで他の先生からもらった問題ばっかりやっていたらそうもなりますよね。笑




「田中ーごめん。俺この後1級の解説あるんだわー」


「あ、マジでー?」


「どれ?」


「これ」


「うーん…。

じゃあ黒板に書いていくからそれ見といて。

んでわかんなかったらまた明日か松本先生に聞いてくれるか?」


「はーい」


「悪い」




先生はものすごいスピードで黒板に図と解説を書きながら説明をしてくれました。



急いでいるだろうにちゃんと私がついてきてるか確認しながら説明するのはさすがだなぁ~なんて思いました。





「と、言うことだな」


「おもいだした!!」


「だよな!」


「ありがとう先生!」


「いえいえ。じゃぁ悪い黒板消しといてな!」


「はーい」




そういうと先生は早足で自分の教室に帰って行った。


多分だいぶ自分の生徒待たせちゃっただろうなぁ。

ごめん、私の知らない人たち。笑




しばらく一人勉強していると、また別な分からないところに引っかかってしまった。


んーー…。

さすがにもう考えるのも無理だな!


なんて、ぼけーと答えを見てしまおうかどうしようか考えていると、松本先生が通った。




「先生ー!!」


「はいはい」


「質問っていうか、もう無理!」


「無理ってなんすか?」



先生が私の席までゆっくり歩いてきた。



「こんな時間まで~どうしましたか?」


「変な数字がでます!」


「なんすか変って。笑」


「多分どっかで間違ったっぽいけど、どこで間違ったか分かんないんだもん」


「はいはい。

ちょっと見せてね」





そういうと先生は私のプリントを手にとって見た。



「なんか間違ってます?

答え見せて」


「はい」


「間違ってませんよ?」


「だって割り切れないもん」


「はぁ~?」


「ほら!」


「…田中~。」


「何…?」


「あんた自分で書いたんだから0と6くらい見分けなさいよ」


「えぇ!?そこ!?」


「ちゃんと答えは合ってますよ」


「なんだよ~」


「こっちこそなんだよ~。

てか、もう時間遅いんだから帰りなさいな」


「う~ん。これ終わったらね」


「ふーん…。」




そう言って先生は教室の一番後ろの席に座った。

なぜ私の隣とか前とか周りではなく、一番後ろに座ったんだ!?

なんだこの微妙な距離w




「田中~?」


「なんすか?」


「あの黒板の説明A先生(担任)がしてくれたの?」


「え?

そんなわけないじゃないっすか~。

A先生があんなに細かく教えてくれないですよ。」


「じゃぁ誰?」


「中川先生ですよ」


「あぁー」



そういえば最近は2科目とも両方の先生に聞いていたから忘れてたけど、こっちの問題は松本先生の科目なのに中川先生に聞いちゃったなぁ~。



「なんでですか?」


「いや、分かりやすいなぁっと思って」


「そうっすね~さすが中川先生ですよね。

A先生じゃそうはできないっすよ」


「そうっすか」



そういいながら黒板を眺めていた。



やっぱり自分の教えていた分野を他の先生に教えてもらうのは嫌なのかな…?



「せ、先生。もう終わったんで大丈夫ですよ」


「そうっすか。

じゃぁ気をつけてかえってね」





そういうと松本先生は黒板の中川先生の解説を消し始めた。



えぇ!?



いや、それはきっと親切心なんだうけど!

いや、しかしそれは私の仕事です!



しかもうちのクラスの黒板だし!


先生のクラスの黒板なら明日消してから始めるの面倒だからとかあるだろうけど!




なんかやっぱり気に障っちゃいました!?




なんて思いながら先生を見ていました。笑

ある日の放課後、私とO君とAちゃんで教室に残っていました。



いつも通り私は廊下が見える席に座り中川先生からもらった問題をやっていました。





もの音がして廊下をみると、松本先生が屋上に行くのが見えました。




あ、捕まえなきゃ。と、言う気持ちが真っ先に出るんですが、あ、質問が無い。なんて事もよくありました。



質問したいタイミングで通るわけじゃないし、通った時にちょうど質問があるとも限らないのでそれが困ったところでした。





ちょっとすると松本先生が屋上から降りてきました。

目が合うと、何も言わずにこっちに向かってきてくれました。



「いかがですか?」


「まぁまぁです」


「そうっすか。それはよかった」





やばい、帰っちゃうじゃん!!



そんなことを考えていると、Aちゃんが松本先生に声をかけました。


A「先生っていくつですか?」




勉強の質問じゃねぇ~!!笑


「いくつでしょう?」


A「30代?」


「そうっすね」


「3?2?1?くらいだよね?」


「1っす」


「そういえば先生結婚式した?」


「しましたしました!」


「そうだよね~指輪やっとしたもんね」


「よく見てますね!」


「なめないで下さいよー」


「ほほっ」


A「ねぇ中川先生っていくつ?」


「確か35くらいですよね?」


「そうっすね」


A「結婚してる?」


「してなかったよね?」


「してないっすね」


A「彼女いるのかな?」


「いそー!いる?」


A「もう35だよ~?いるでしょ!」


「さぁー?聞いてみたらいいんじゃないっすか?」


「えー教えてくれなさそう!」


A「だよね!!」


「なんかめっちゃ若い彼女とかいそう!」


A「20代前半くらい?」


「そりゃまずいでしょ。だって君たちで16離れてるんすよ?」


「そうだけど、中川先生ならいそう!高校生とかねw」


「何個違うと思ってるんですか!!」


「ちょっとAちゃん中川先生来たら聞いてよ」


A「任せろ!」





勉強をほったらかして雑談をして大笑いをしていると、中川先生がすっと教室にやってきた。



「あ、中川先生!!」


「な、なんすか!?」


「今ちょうど話をしてたんですよ」


「なんのぉ?」


「ほらAちゃん!!」


A「先生~高校生の彼女がいるって本当ですか~?」


「はぁ~!?」




すでにAちゃんの中では中川先生の彼女は高校生で断定されてしまっていたらしい。笑



「いませんよ!」


A「本当に~?」


「じゃぁ彼女いくつですか?」




若干の誘導尋問。




「彼女なんていません」


「え~絶対嘘~」


「いませんよ~。

俺いたらいるって言うもん」


「絶対うちらになんて言わないでしょ!」


「いういう」


「絶対なーい」



A「先生結婚しないんすか?」


「そうっすね~今はいいかな」




『今は』ってもうだいぶ年齢来てる人が言う言葉じゃないでしょ。笑



「でも、まぁそのうちしますけどね」


「やっぱり彼女いるんすか?」


「いませんてば」





その日はそんな話をしていたのでほとんど勉強は進みませんでした。

よく考えると、この2人の先生を合わせると何十人の生徒を教えてるのに放課後うちら3人だけで、しかも雑談で引き留めるって結構贅沢なことしちゃいましたね。




「てか、もう時間も時間だし、帰りなさい」


「はーい」




中川先生が自分の教室に帰った後、松本先生だけ私たちの教室に残っていてくれた。



「てか、先生は自分の生徒よかったんですか?

ずっとうちらのところにいて」


「大丈夫です。

俺が教えてた生徒はもう帰しましたから。

あ、まぁ一人行方不明がいますけど」


「行方不明!?」


「ふらっとどっかいったんすよね。

でも、さっき別な先生が捕獲して別な勉強させられてるの見ましたから」


「どんだけ勉強させられてるんすか!?」


「ねぇーどうにかしてほしいっすよ」





私たちが問題をしまったり、鞄に道具をしまっていると松本先生が立ち上がった。



「じゃぁ気をつけて帰ってくださいね」


「はい!先生長々引きとめちゃってすいませんでした。

ありがとうございました」


「いえいえ。今日は特に何も教えてませんしね」


「ずっとしゃべってましたもんね」


「ま、また頑張りましょう」


「はーい」


「じゃ、私はこれで」





そう言って松本先生はエレベーターに向かった。



私は勉強中に食べていたポッキーの余りを出して松本先生を追いかけた。



「先生!」


「なんすか!?」


「ポッキーどうぞ」


「はははっ田中はいつもなんかしら持ってますね。

おりがとうございます」





正直鞄にしまって持って帰るのが嫌で先生にあげたんだけどね。笑



皆に2本ずつ。

今日はずっとしゃべってたから1袋食べれなくて、結構あまってましたから。





支度が終わると3人で学校をでた。

ある日、皆が帰った放課後遅くに中川先生が廊下を通りました。



「先生!」


「はいはい、ちょっと待っててね」





先生を見つけると、私は声をかけて止めました。


先生は屋上に行く途中だったらしく、タバコを吸ってから戻ってきました。




「はいはい」


「分かんない」


「んー?

あぁこれはねぇ~」




そういうと説明をしてくれました。

やっぱり中川先生は的確な答えをくれるなぁ~って感じました。




「なるほど」


「わかった?

でも、この問題って誰からもらったの?」


「A先生(担任)」


「ふ~ん。

5階の教室に俺の用意した問題置いてあるからさ?

それ好きなだけ持って行っていいから」


「本当?5階って?」


「前居残ってやってた教室の方」


「あぁはいはい」


「それにあそこで勉強してもいいから」


「誰かいるの?」


「あぁ前のクラスの人とか2年生とか履歴書書いてる人とかがいるくらいだよ」


「そうなんだ~」


「いつでもどうぞ」


「わかった」





そんなこと言っても私自分のこの教室から出る気はなかった。


なんだか屋上に一番近いこの教室が一番落ち着いたし、ここにいれば先生からしたら迷惑かもしれないけど先生を独り占めできてたし。






先生はまた自分の教室に戻って行った。


正直一人は寂しいけど、落ち着いて自由にできるは嬉しい。

家じゃ絶対何か別なことしちゃうし、学校でも誰かいるとダレちゃうし…。





こんな広い部屋を独占できることもなかなかないしね。


2人に再会してから、私は放課後は廊下が見えるところで勉強することにしました。



そこで勉強していると、先生が通るのでそこを捕まえて質問することにしました。






他の皆は電車もあるので結構早めに放課後は帰ったりしていましたが、私はできるだけ長く学校に残っていました。



なので教室に一人でいることもよくありました。




冬なのに教室のドアをがっつり開けて、暖房の風もどんどん外に出ていくというもったいない事しているロンリーな私を廊下を通る生徒や先生がチラチラ見ていました。笑



担任の先生もちょくちょく見に来てくれましたけど、担任の先生には特に何も質問したことはありませんでした。



だって、聞いた事じゃない事が返ってきて「めっちゃ時間の無駄したわ」って思ったことが多々あったから。笑




一生懸命なのは分かるんですが、それ以上に私が切羽詰まっていましたから、申し訳ないですけどできれば来なくていいと思ってました。





そのころからです、私がタバコを吸い始めたのは。






まぁ興味本位っていうのもありますけど、

やっぱり一番の目的は先生で、その次は自暴自棄ってところですかね。





でも、あんまり人には言わないようにしていました。


なんか「なんで吸い始めたの?」みたいなトークが面倒だったんですよね。




藤木に言っていましたけどね。

教室でしばらく勉強していると、廊下を松本先生が歩いているのが見えました。



ちょっとじーっとみていると、先生が振り返りました。


教室から手を振ってみました。


すると手を振り返して近づいてきました。



「何してます?」


「先生の授業のです」


「ほほっ」


「完璧忘れちゃいましたよね~」


「はー許せねー」


「無理無理」


「どこー!?」


「これー!!これ分かんなくって30分くらい同じ問題みてるんですから」


「ちょっw

聞きに来ればいいじゃん」


「だってどこで何してるか知らないもーん」


「あぁ~俺この検定終わるまで午後はずっと自分のクラスにこれ教えてるんでうちの教室来ればいますよ」


「先生の教室しらんもん」


「6階奥です」


「へー」


「いつでもどうぞ。うちの教室で勉強してもいいし」


「じゃぁそのうち行きます」


「そのうちかい。まぁ考えて分かんない場合はきなさい」




やっぱり中川先生も松本先生も優しい人達だなぁ…。



それぞれ自分のクラスを持っちゃってるのに他のクラスもきづかうんだから…。





やっぱり好きだなぁ。