さくら猫 | かたばみ日記

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 好きなものは野辺の草花、古い音楽、二匹の老猫、温かい紅茶と読書の時間。息子は大学生、娘は小学生です。




「まるちゃん、メスだよ。」


唐突に息子が話しかけてきた。



前後の脈絡なく、いきなり話したいことを
話し始めるのは、私からの遺伝。




なによ、まるちゃんって。




「さくら猫って言うんだってさ。
不妊手術済みの猫は
耳を桜の花びらみたいにカットするんだ。」





……ああ、まるちゃんって、あの子のことか。











我が家の庭先に
時々あらわれるこの子のことを
私はテキトーに「まるちゃん」とか呼んで
うちの中を覗き込むようにしてくるのが可愛くて
キャットフードをひとつかみ
ベランダに置いてやったりしていました。





娘が赤ちゃんの頃には来ていたんだから
もうかなりのトシのはずだけど
毛並みもきれいだし
ぼってりと太っているので
きっと誰かに可愛がられているんでしょう。



ケンカして噛みちぎられたんだと
思い込んでいたわ。
だから男の子と信じて疑わなかった。




「左耳カットはメスなんだってさ」




へえー、まる子ちゃんだったのか。
女の子にしては人懐っこいね。








探してみたら5年前の写真がありました⬆️
若いな。確かに、お嬢さんに見えてきた。






このくらいのテキトーな距離もまた
たまらん「猫」というイキモノである。