2025.04.某日
【大雄山最乗寺】
もくじ
・平日の最乗寺
・大雄山最乗寺
・道了尊
・瑠璃門
・本堂
・鐘楼の奥にあるもの
・川ゾーン
・結界の先へ
・巨大な下駄
・奥の院へ
・特異な三面大黒天
・狛犬いろいろ&多宝塔
・帰りのお楽しみ
・平日の最乗寺
最乗寺は今までに何度も来ているが、正月以外の時期に一人で電車とバスで行くのは初めてだと思う。行こう行こうとは思っていたが、なかなか天気が良くならなかった。久しぶりの晴れの日ということもあり平日にも関わらず駅は人で溢れている。大雄山線のホームに行くと、紅葉の形をした天狗の団扇を正面に貼り付けた、❝いかにも❞な赤い電車が停まっている。少し色褪せていたので、一瞬飾り物の電車かと思ってしまった。小田原駅から大雄山線に乗るのも久しぶりだ。乗り込んだ後、電車の写真も撮っておけば良かったな…と思ったので、大雄山駅に着いた時に写真を撮った。電車内は、昔乗った時よりもだいぶ新しい。昔乗った時は、座席が向かい合わせだった気がする。二両編成。大雄山駅を降りるとホームに亀池がある。ここは数十年前と変わらない。亀は長生きなので亀も同じ亀かもしれない。最後に来た時には亀池に亀を勝手に捨てる人がいるらしく、注意書きが貼ってあった。乗り換えの時間はけっこう短いのでそのままバス停へ行く。バスに乗り、窓際の席からなんとなく外の景色を眺める。バスの車窓は好きだ。車高が高いので普段と違う景色が見える。間に仁王門がある。仁王門から登っても良いが、今回は奥の院(以下略)なのでバスで上まで行く。仁王門から道了尊までは思ったより距離がある。
・大雄山最乗寺
最乗寺は曹洞宗だそうだ。天狗といえば修験道と思っていたが、曹洞宗といえば禅宗である。曹洞宗といえば永平寺の修行を思い出す。いわゆる修験者の修行と曹洞宗永平寺の修行はだいぶ趣が違うため、最乗寺が禅宗であるのは意外だった。まぁ、神仏分離があったしな。仏像としては、興味深いのは三面殿の三面大黒天。その他の仏像は入口の地蔵堂の地蔵菩薩、本堂本尊釈迦三尊像、不動堂には滝不動と愛染明王、多宝塔の多宝如来など小像が多い。御真殿内には大きな烏天狗・大天狗がいる。また、結界門前と奥の院参道中に烏天狗・大天狗の銅像がいて、狛犬は三対。
・道了尊
バス停道了尊。正月は全ての土産屋がオープンしているが、平日ということもあり今日は一つしかオープンしていない。山門への階段の入口にある地蔵堂に参る。地蔵立像は木造彩色。奥の院まで頑張れることを祈る。地蔵って、なんだかんだ言っていいよな。菩薩道の同胞(弥勒菩薩)に「悟り開くために五十六億三千万年瞑想してくるから衆生ヨロシク!」って言われたら、そりゃあ地獄の王にもなりますわ。自分で罰して自分で救済う。中二心を擽られる設定だ。六人組が作られたり、道端に立てられたり、◯◯地蔵が各地にあるのは、それだけ地蔵が日本人に愛された証だろう。で、橋向こうのトイレに行ってから山門への階段を登る。トイレはきちんと清掃されていてきれい。山門までの階段は幅広階段なのだが、山門まですら少し息が上がって今後が心配になる。山門の写真を撮った後で見返したら、山門の上から降り注ぐ陽光が分離され何色もの光の帯ができて、まるで仏教フラッグのようになっている写真があって面白い。山門越しに切り取られた参道の景色は、光が差して青紅葉が輝いていて美しい。参道の両側には道了講(天狗講)の石碑が並ぶ。ここの石造物を調査したら何年かかるか…。途中、境内図がある。なぜか、山門は表記されていない。
・瑠璃門
瑠璃門から中に入ると、広々とした空間が広がる。いつもは奥の御真殿に参った後で帰りにここで飲み物を買う。今回は奥の院まで行くので、持ってきた半分しか入っていない紅茶を飲み干し、ペットボトル飲料を買う。
・本堂
広場の奥の階段の上にある。本堂の手前には、両側に枝垂れ桜が咲く。青空にソメイヨシノよりも濃いピンク色が映える。写真を撮っている人もいる。本堂に上がり、お参りをする。本尊は釈迦如来。脇侍は普賢菩薩騎象像と文殊菩薩騎獅像。かなり高い位置に祀られていて、暗くて見づらい。手を合わせて祈る。高い天井からは派手な金色の天蓋がさがる。中央に鏡があって、中央に立つと天井を見上げる自分の顔が映る。本堂は畳敷きでかなり広く天井も高いが、ここで何かをしているのは見たことがない。正月の祈祷は、これより上の御真殿で行っている。
・鐘楼の奥にあるもの
鐘楼も見る。正月は参拝者が自由に鐘を突けるようになっていて人が並んでいるため、近くに行くことはほぼない。今日は平日なので鐘は突けない。鐘楼が面白い。象と獅子の上半身が4ヶ所から突き出している。それぞれの柱には龍が這い回る。奥には松平大和守直基の墓がある。説明板があり、松平大和守直基は徳川家康の次男結城秀康の五男で、姫路城主だったが病死し、最乗寺に葬られたそうだ。日清戦争の戦没者の供養碑もなぜか同じ区画にある。その前には、湧き水が飲めるようになっている井戸?もある。その奥が結界門前の川ゾーン。
・川ゾーン
川ゾーン。結界門前には川が流れており、広い石橋が架かっている。御供橋という名前らしい。この川は滝不動の脇の滝から流れ出した水が作っている。この滝は、多分人工のものだとは思う。水は澄んでいて鯉や亀などはいない。どこでも小銭を投げ入れる人がいるらしく、水底では錆びづらいアルミニウムの一円玉がラメのようにキラキラ散らばっている。ここまで来ると、なんとなく空気が少し冷たくなり引き締まった感じがする。手前の手水舎は四辺から麒麟の上半身が飛び出している。欄間?には水犀と呼ばれる甲羅のある想像上の生き物が三頭彫られ、手水鉢からは二つの龍が頭を持ち上げ水を吐く。この龍、二頭かと思って裏に回ると、体は一つで首が二つの二股龍となっている。しがみついている感じが可愛い。石橋の先の結界門の両脇には烏天狗と天狗の銅像が立っている。ここの烏天狗が好きで、前にもぬいぐるみを置いて写真を撮った。今回はぬいぐるみ二匹持ちなので二匹並べて写真を撮る。烏天狗も大天狗も、足先を触る人が多くて足先がツルツルピカピカになっている。烏天狗のデザインは笛は吹いていないが三十三間堂の迦楼羅像に似ている。
・結界の先へ
結界門を入ると目の前に大きな石垣があり、その上に石碑?が並ぶ。参道と同じく、大雄山の講のものか。左脇の短い階段を上り納札所にお参りする。ここにも、小さめの杖をついた天狗がいらっしゃる。この納札所の反対側、門から入って右側に参道と垂直に長めの階段があり、その上に御真殿がある。ここの階段はそこそこキツい。御真殿に上がる。この堂の中には大きな烏天狗と大天狗の木像がいらっしゃる。頭身が低く、顔もデカいので迫力がある。パッチリと開いた目は玉眼。体は暗い茶色なので目がギラギラして目立つ。ここでのご祈祷で私が見たことがあるものは経の転読で、何人ものお坊さんが並んで経典をバラバラと転読している様は厳かで気迫が強い。不動明王のように護摩祈祷しないので、烏天狗と大天狗の目は曇らないのだろう。
・巨大な下駄
隣は奉納下駄スペース。現在は奉納は受け付けていないが、こには昔奉納された、いろいろなサイズ、いろいろなデザインの下駄が並んでいる。ほとんどのものは金属製。巨大下駄の前で写真を撮れる。ぬいぐるみを置いて写真を撮る。この巨大下駄は、瑠璃門に入る前の道を真っ直ぐ行くとある衆寮の手前の碧落門の前にもある。前はなかった気がするが…。その先を行くと、新しめの石造の狐に乗った烏天狗の道了薩埵像、道了薩埵の本地仏十一面観音の銅像などがいらっしゃる。その先がいよいよ奥の院の入口。奥の院は前回来た時に久しぶりに行ってみたら想像の倍くらい遠かったので、手前でトイレを済ませておく。
・奥の院へ
参道の右手に直角にある奥の院までの階段の入口の両側には狛犬が鎮座する。前方から、サビ柄の甲斐犬を連れた人が降りてくる。顔を見たら若そうな女性だったので意外だった。奥の院入口の階段では突然足が重くなったように感じる。階段を登り切るとしばらくは緩やかな遊歩道だ。杉並木の隙間から光が射し込んで、苔生した大きな岩を照らしている。その光景がなんとも美しく安らぎを感じる。この感じをそのまま現像できるカメラが欲しい。最後の階段の手前には、結界門の両脇とは違うデザインの烏天狗・大天狗の銅像がいらっしゃる。こちらは高い磐座に立っていて、触ることはできない。高い所から見下ろす姿勢に迫力がある。この、最後の階段がめっちゃキツい。三段上っては一息つきながらどうにかして上る。奥の院はわりかし小さなお堂だ。ここも靴を脱いで本堂に上がる。十一面観音菩薩が祀られているが、秘仏である。お祈りをする。授与所のおじさんは顔を伏せて寝ている。木漏れ日が射し込み、穏やかな空気が流れる。奥の院を後にして、ふと振り返るとお堂の上を飛行機雲が通る。フォトジェニックな光景だが、私の機材ではお堂と飛行機雲の両方を捉えるだけの機能がないのが残念だ。来た道を帰る。下りは上りよりは足が軽いが、意外と急なので手すりに掴まりながら慎重に降りる。降りる途中、すれ違う参拝者と挨拶を交わす。山登りのしきたりだ。
・特異な三面大黒天
狛犬のいる奥の院参道入口まで戻ると、夫婦が犬を散歩させているのが見えた。先ほどの甲斐犬とは違い、フレンチブルなので奥の院まで行くことはないだろう。同じ犬でも全然違う。人間も似たようなものか。帰りは三面大黒天のいる三面殿のルートを通る。三面殿前にも狛犬がいる。狛犬の前には石碑があり「この狛犬が参拝者の悪魔を退いてくれる」など、三面大黒天ではなく狛犬の有り難さを説いているのが面白い。子犬に乳をやっている姿が珍しいらしい。ここもお堂に上がる。ここの三面大黒天は、通常のよくある弁財天・大黒天・毘沙門天タイプではなく、飯沢明神・矢倉明神・箱根権現を三面にしたご当地ならではの神様トリオとなっている。オーク材のような赤茶色で、米俵に乗る姿。厨子にぎっしりと詰まった堂々たる姿。顔は、両耳の脇に顔が付くのではなく、三つの顔が重なり合うだまし絵のような顔になっているらしい。見た目には分かりづらいが、すぐ隣の授与所で御札をいただき、そこに捺された木版画を見るとよくわかる。実は、私も最乗寺に三面大黒天がいらっしゃるのは十数年前まで知らなかった。たまたまコンビニで購入した「ヘンな仏像」という本にここの特異な三面大黒天が掲載されており、そこで初めて知った。フザケた題名だが中身はなかなか面白い本なのでお勧めしておく。
・狛犬いろいろ&多宝塔
結界門の前の川ゾーンまで降りてきて、多宝塔を見る。多宝塔の前にも狛犬がいる。最乗寺には、計三対六匹の狛犬がいる。上から、奥の院参道入口、三面殿前と、ここ、多宝塔の前。奥の院参道入口の狛犬は古そうだ。狛犬はだいたい奉納者名と奉納年月日が台座裏に書かれているが、ここの台座は新調されており、台座裏には台座を奉納した人の名前が書かれていた。三面殿前の有り難い狛犬は、秦野の貴船神社の狛犬に似ている。秦野の貴船神社は、狛犬のデパートか、あるいはドッグランかというくらい狛犬がたくさんいる神社なので、狛犬が好きな人は訪ねたほうが良い。私ももう一度ドッグパラダイス貴船は訪ねたいと思う神社の一つだ。多宝塔前の狛犬は一番新しいもので、近年のスタンダードな口と目に赤白の彩色のある御影石色の赤渦巻きタイプ。で、多宝塔。最乗寺HPによると、この多宝塔は南足柄市指定文化財になっており、文久3年(1863)に建立された最乗寺境内で最も古い建造物なのだそうだ。古さもすごいが、そんなことを何も知らなくても、まず見た目が面白い。上部が円形で、下部が方形。四方にのびのびと広がる大きな屋根も美しい。
・帰りのお楽しみ
本堂前の授与所でおみくじを引く。交通安全お守りも購入。また、瑠璃門内部ゾーンに戻る。ここには、自販機数台とベンチもある。駐車場側に総合受付があり、近年発売されたおみくじガチャがある。五百円と高めなので今回は購入しない。瑠璃門を出ると、向かって右側に宝物殿の後ろ姿が見える。宝物殿は奈良東大寺の正倉院と同じ校倉(あぜくら)造。宝物殿自体は中を見るのを忘れた…。帰りに土産屋で天狗の団扇煎餅を買おうと思っていたが、もう閉店していた。バスで帰る。途中、社員研修なのか、すごい数のスーツを来た若い男女が乗り込んで来た。活気に溢れていて、なんだか羨ましい。駅に着いたので、信号を渡りロピアでたい焼きを買う。スーパー内の小さなフードコートは中華屋になっていて、たい焼きは相変わらず売っているがたこ焼きが無くなっていて残念だ。駅前のダイソーで野暮用を済ませて帰宅。ほとんどが交通費だが、そこそこ金を使った。たい焼きはレンジで温めてオーブンで焼いて食べた。筋肉痛は三日続いた。
