ファッションショーの開始時刻は過ぎている。

ショーは一向に始まる気配がない。

 

 

「えっ!?まだ作品が全部揃っていなって!!」

舞台裏は、不安と緊張でマックス状態!

まだ最後の作品が届く気配がない!

 

 

 

イラストはネットから拝借

 

 

フランス人のデザイナーX氏は、

ジバンシーにも認められたと言う新鋭デザイナーである。

 

周りの評価は高く、

新しい感覚を持ったデザイナーであるが、

一向にメジャーになれないで苦しんでいた。

 

 

デザイナーにどんなに才能があっても、

その人を世に出すプロデューサーに能力がないと

日の目を見ないで消えていくデザイナーはいくらでもいる。

 

 

彼のプロデューサーは、

恋人でもあるO氏、イタリア人である。

 

いつも一緒に行動しているが、

見た限りやり手のようには見えなかった。

 

 

こんなことを言えた立場ではないが、

長年ファッション業界に身を置いたジュンヌにとって彼は、

公私混同していて鋭さを感じなかった。

 

 

縁あってファッションショーの

作品創りのお手伝いを友達とすることになったが、

 

ショーが1ヶ月先に迫っているのに、

まだ構想がすべて出来上がっていない状態に不安があった。

 

 

日本人の私達が焦って夜遅くまで手伝っているのに、

スタッフやデザイナー当人が先に帰ってしまう。

 

挙句の果てバカンスはしっかりとっている。

 

 

 

夜遅くまで、友達と二人で仕事をしているところに

デザイナーのX氏と恋人のO氏が入ってきた。

 

 

私達が遅くまで残っているのに驚き、

「どうしてそんなに働くの!?」

 

「えっ!!」

言葉が出なかった。

 

 

言いたかった。

「だって、間に合わないでしょう!」

 

 

日本人のデザイナーのパリコレも手伝ったことがあるが、

こんなひどい状態は見たことがなかった。

 

 

O氏は、日本の企業とも提携して

一部日本でも売られていたが、

あまり知られていたかった。

 

 

デザイナー本人は、マーケティングは知らないのは当然だが、

誰と組むかで、デザイナー生命が断たれてしまうという現実を

見せられたような気がした。

 

 

 

ファッションショーは1時間遅れで開催された。

評価が良かったのかどうかは記憶にない。

 

 

その後、

お手伝いした賃金は払ってもらえず、

現物支給になった。

その様子からしてみても先が思いやられる気がした。

 

 

 

日本人はどこに行っても重宝がられるのは、

心配性の気質と、相手を思いやる気持ちが、

相手の期待を良い意味で大きく裏切るからなのかもしれない。

 

 

パリでジュンヌは

「どうしてそんなに頑張るの?」

「どうしてそんなにやってくれるの?」

と言う言葉を何度もかけられた。

 

 

日本女性が普通にやっていることが、

男女平等の考え方の強いフランス人にとっては、

不思議に映るのかもしれない。

 

 

フランス人と仕事をしたことで、

それぞれの国の良さや学ぶべきところが見えてきて、

とても良い経験になった出来事でもあった。