「乳癌なんか怖くない」

あるジャーナリストが、

自分の癌体験を書いた本のタイトルである。

 

 

 

 

ある朝、

何気なく胸に触れた時、

なにか硬いものを感じた。

 

 

確かにしこりがある。

 

 

しかし、

20代の頃もしこりを感じて病院で見てもらった時は、

乳腺がしこりのように固くなっていると言われ、

腫瘍ではないと言われた。

 

 

でも、今回は少し違う。

確かにビー玉のように丸くて硬い。

 

 

不安になり、

本屋さんへ出かけた。

 

 

そこで目にした本のタイトルが、

「乳癌なんか怖くない」

 

 

彼女の胸の写真がのっていた。

 

 

自分のしこりと比べてみた時、

ショックを受けた。

 

「似ている!」

 

 

鏡の前で胸を張って横から見てみると、

胸の上方のしこりが外からもわかり、

光のあたる反対側に影を落としている。

 

 

仕事も一段落して、

パリに戻る準備をしていた時期で、

速く検査をして安心して戻りたかった。

そう思いながらも不安が募る。

 

 

広尾日赤医療センターに

検査をしてもらいに行った。

 

 

お医者さんは。

癌だとは言わない。

 

 

しかし

「検査してみないとまだわかりませんが、

このままにしておいたら、

いつ悪性に変わるかもしれないので、

すぐ手術しましょう!」と言った。

 

 

その言い方で、覚悟した。

「癌の可能性が高いのかもしれない。」

 

 

3週間後に手術が決まった。

 

 

もしかしたら片方の胸を失うかもしれない。

37歳のジュンヌにとって

女性として死を宣告されたのも同じだった。

 

 

「なぜ私が癌に・・・?!」

泣きたかった。

とてつもない焦燥感に襲われた。

 

 

しかし、誰かに相談したところで、

この状況は動かしがたい事実だ!

 

 

自分の中で、

これからの人生をどう生きていこうかと

自問自答した。

 

 

「もし、胸を失ったら仕事に生きよう!」

 

ポジ振りしている自分がいた。

 

 

 

手術を前にしてお医者さんから説明があった。

 

 

「丸いケーキをイメージしてください」

3分の1カットしてくっつけると小さくなりますね

胸が多少小さくなりますが、なくなりません」

 

 

担当の先生は、アメリカ帰りの方で、

当時、全摘が多かった乳癌の手術を

温存法でやってくれることになった。

 

 

 

手術当日は、母と妹が来てくれた。

 

 

ジュンヌが落ち着いているので、

母たちも冷静に見守ってくれていた。

 

 

 

麻酔の後、

数秒で意識がなくなった。

 

 

 

5時間後

目覚めた時、空腹を感じた。

「お腹空いた~!」が、第一声だった。

 

 

お医者さんが来て、

5分の1のカットですみましたよ」と言った。

 

 

そして、

「右脇のリンパも取って検査しましたが、

がん細胞は2,5cmの腫瘍の中だけでした」

 

 

取った腫瘍も見せてくれた。

 

 

なんか、「助かった」と感謝が湧いた。

 

 

手術後の痛みはあまりなく、

自分が大きな手術をしたことも忘れるほどだった。

 

 

ただ、

右脇のリンパを取っているので、

リハビリをすることと

いくつか注意事項があった。

 

「右手で重いものは持たないように」

「日焼けもしないように」

 

 

リハビリは右手を上に高く伸ばす練習を毎日やることだったが、

その時はつれるような痛みを感じた。

 

 

 

3週間後、退院。

しばらく妹の家にお世話になっていたが、

次のシーズンまで仕事はないので、

パリに戻ろうと思った。

 

 

お医者さんに相談して

「パリに行くので1ヶ月分の薬を出してください」と頼んだ。

 

お医者さんの許可をもらって

パリに発った。

 

 

 

自分が癌と知った時、

「なぜこの私なの・・・?!」と絶望感に襲われた。

 

 

しかし、

初期状態で発見でき、

良いお医者さんにめぐりあい、

胸も残った。

 

 

癌を宣告されたことで、

自分が不死身ではないことを知った。

 

 

そして、自分の体をもっと大切にしようと思った。

 

 

全ては、意味があることなのだと思うと

ありがたかった。