派遣の仕事を初めて半年くらいたった時に
大手デパートが100%出資している派遣会社に席を置くことになった。
当然そのデパートでの派遣販売員ということになり、
デパート内の催事や色んなイベントに使っていただけるようになった。
提携している学校の制服注文や、
就活のための制服注文。
こちらは、デザイナー時代の仕事が役に立ち
楽しんで対応することができた。
ホテルで行われる外商のためのハイブランドの販売手伝いなど、
億単位のダイヤモンドなどが目の前に並ぶ事もあった。
ある時、
とうもろこしから作った洋服の展示販売に派遣された。
今までにない素材であり、洋服も特殊なものだった。
ジュンヌにとって面白いというは感覚が働き、
デザイナーの意図を汲み取りお客様に楽しく説明できたことで、
価格の高いものであったが、
結構売上に貢献することができた。
デザイナーから
「次の催事の時も入ってほしい」
「直接連絡しても良いですか?」と言って頂けた。
それからは、
その催事が行われる度に売り場に立つことになり、
デザイナーとも親しくなっていった。
何回目かの催事の時、
「今度、某メーカーと提携してデパートに売り場を持つことになったの」
と彼女から聞かされた。
デパートに売り場を持つということは、
ただ作って売ればよいというわけには行かない。
デパートとの季節ごとの販売計画などをする
MD(マーチャンダイザー)が必要になる。
そのことを彼女に話した時、
「MDをやってくれない?」
「私から社長に話します」と言われた。
MD経験はないが、デザイナー時代に
デパートにショップを持っていた経験から
なんとかなると思って引き受けることにした。
大手メーカーの洋服部門として発足したブランドの
1年間のMD契約をして新ブランドの販売促進が始まった。
ところが思っていた以上に大変なことに気がついた。
問題はデザイナーの物創りのあり方に問題があった。
彼女はデザイナーと言うより、
創りながら発想が湧く作家タイプだった。
デザイン画を描いてから制作するのではなく、
発想を形にしながらデザインしていくため、
デパートから前もってデザイン画の提出を催促されても
ギリギリまでデザイン画が出てこなかった。
デザイン画が出る頃には商品も工場で制作されている状態が多く、
変更がきかないことが多かった。
ジュンヌもデザイナーであったので、
彼女の気持ちもわからないではないが、
MDとしては、そのやり方を変えてもらわないと
デパートとの話も進められない。
デザイナーとぶつかることが多くなってきた。
しかし、彼女は自分のやり方変えることができない。
それが彼女のやり方だから。
ファッションショーの作品などはとても素敵なのだが、
一般販売となるとある意味で一般受けするものも必要になってくる。
デパート側から意向を伝えても聞き入れてもらえないことも多かった。
彼女が勝手に制作してしまった商品の在庫が増え始め、
会社やMDの手に負えなくなってきていた。
商品自体はジュンヌも好きだったが、
デパートでショップを持つためには、
デパートの販促に沿わなくてはならない。
1年間販売した時点で、
デパートの1店舗を残して他のデパートから撤退することを
メーカー側が決めた。
彼女もメーカーとの契約に終止符を打ち
デパート1店舗だけを残し、
路面店での販売に戻った。
ジュンヌのMDとしての仕事も終わった。
MDとしての仕事は終わったが、
彼女との縁は、次のチャレンジに繋がっていった。
次回に続く。
