私たちが見えている信号の、意識したことありますか?

みんな同じに見えていると思いますか?

例えば、こんなふうに見えている人が、世の中にたくさんいるということを知っていますか?

こちらは、正常に見えている人が見る色と、色覚異常の人が見ている色の違いです。

 

 


 


生まれた時からこのように見えていたら、

ほかの人も自分と同じように見えていると思ってしまいますよね。

 

人間の色の感じ方は一様ではないのです。

遺伝子のタイプの違いやさまざまな目の疾患によって色の見え方が一般の人と異なる人がいます。

色の感じ方が一般と異なる方のなかで一番多いのが、

いわゆる色覚異常色盲色弱色覚障害(色覚特性とも称されます) です。

色覚異常と言われる人が日本では男性の20人に1女性の500人に1

日本全体では500万人以上いるとされます。

世界では2億人を超えます

 



 


私たちが色を識別できるのは、眼の網膜(もうまく)に錐体(すいたい)

という視細胞(しさいぼう)が3種類存在するためです。


長波長(おもに黄緑~赤)に反応するL錐体

中波長(おもに緑~橙)に反応するM錐体

短波長(おもに紫~青)に反応するS錐体

 

これらの錐体のうち、L錐体がないと赤が暗く感じ黒っぽく見えます。

M錐体がなかった場合、赤みと緑みの差がわかりづらくなります。

これらの遺伝子はX染色体上に存在するため、

X染色体を一つしか持たない男性に表れやすいのです。

世界的に見れば、AB型の血液型の人口よりも、

色弱と呼ばれる人口のほうが多いことがわかっています。




 

こういった何らかの色覚異常を持っている人たちのために、

カラーユニバーサルデザイン(CUDが、用いられています。



こちらは、

各局で統一されることになった、テレビ画面の津波警報の色です。

【大津波警報は、津波警報は、津波注意報は黄色、背景の地図は灰色、海は濃い青

asahi.com(朝日新聞社)2011,8,18より画像を転載させて頂きました。

      

色覚障害に配慮した色づかいの津波警報(サンプル)             

作成: 東京カラーズ(色彩のご提案・カラー研修)



 

 



そのほかにも、いろんなところにこのカラーユニバーサルデザインが使われています。

特に公共の場(駅構内)ではますます増えていきます。




 




 


色だけでなく文字も入れることで、間違いを減らす工夫もされています。

 

 

 


そういったカラーユニバーサルの活用が活発になっている反面で、政府は?!

 

9月19日(木)朝日新聞デジタル配信のニュースに、こんなショッキングな記事がありました。



色覚異常の子どもの2人に1人が異常に気づかぬまま、

進学・就職時期を迎え、6人に1人が、進路の断念などのトラブルを経験していることが、

日本眼科医会の調査で分かった。

これってどういうことなのでしょう?



 

この色覚異常かどうかを調べる検査は、小学4年を対象に全国で行われてきたが、

社会的な差別にもつながりかねず、異常があっても生活に支障がない人が多いことを理由に、2003年に中止された。

そして、国は2001年の労働安全衛生規則の改正で、

雇用者が雇用時に色覚検査を行う義務を撤廃。

色覚異常があるだけで、採用を制限しないよう指導してきた。

 

しかし、現実は、航空写真関係食品関係の一部警察官などの公務員では、

色の識別が難しいと職務に支障が出ることを理由に現在も制限されています。



 

もし、あなたが自分の色覚異常に気づかず、これらの職業を目指して努力していて、

就職の時に分かって断念しなければならなかったらどうでしょうか?



 

日本の教育を見ていると、個人を尊重して差別や、いじめ、むやみな競争心を防ごうとして、

そのことによって起きる弊害の対処にまで行き届いていないように思うのは私だけでしょうか?



これからグローバル化した国際社会を舞台に生きていく子供たちにとって、

本当に必要なことは何か、もう一度真剣に考える必要があるように思います。