患者は60歳代女性。
主訴は下顎の義歯不適合による咀嚼困難。
担当医は下顎の左側遊離端欠損症例に対し、診査・診断の結果、ガルバノコーピングを応用したコーヌス義歯を選択した。
担当医から弊社に本症例の指示書(図1)、下顎作業用模型、上顎対合歯模型およびバイトが届けられた。
(図1)
担当医は当初、7~3⏋の外冠を連結したコーヌス義歯を予定していた。しかし義歯支持力の左右差による装着時の微小な動きが予想され、支台歯や顎堤の予後に影響を及ぼしてしまうのではないか考えた。その結果、43⏋を金属床と外冠の一体型とし、765⏋はガルバノコーピングを義歯床に取り込む形とし、その上に人工歯配列を行い試適することした。
歯冠修復部と有床義歯部の担当技工士が担当医の指示のもと、それぞれの意見を交換しながら最善の方法で製作を行った。
まず歯冠部担当技工士は7~3⏋のガルバノコーピングと個人トレーを製作し納品した(図2)。
(図2)
義歯部担当技工士は歯科医院からガルバノコーピングが取り込み印象された個人トレーを受け取った。ガルバノコーピングにレジンを流し込み作業用模型を製作した(図3)。
(図3)
義歯部担当技工士は43⏋コーヌス外冠を一体型とした金属床を製作した(図4)。その後上顎は下顎義歯完成後、新製されるという指示に従い平面を修正して配列試適を行った。
(図4)
試適後、模型およびロウ義歯が医院から届けられ、歯冠部担当技工士がハイブリッドレジン前装築盛(図5)を製作し、義歯部担当技工士がレジン重合、研磨を行い完成させた(図6、7)。
(図5)
(図6)
(図7)
下顎ガルバノコーピングを併用したコーヌス義歯を装着後、上顎義歯は下顎義歯に合わせ新製された。
担当技工士
歯冠修復部:長江昌樹
有床義歯部:渡辺晋平